広大な「王子の庭園」の歩き方

 王宮庭園は、大きく「Jardin de la Isla(島の庭園)」と「Jardin del Principe(王子の庭園)」の二つに分けられます。島の庭園は王宮のすぐ近くですので、王宮と王宮庭園の歩き方としては、午前中に王宮と島の庭園、午後に広大な「王子の庭園」と「Casa Marinos(船乗りの家)」、「Casa del Labrador(農夫の家)」を回るコースが効率的です。

            

                 
王子の庭園の入り口「Puerta del Embarcadero(埠頭の入り口)」

 王子の庭園の入り口は、「Calle de la Reina( レイナ通り) 」沿いに3箇所ありますが、「Pza.Santiago Rusinol(ルシニョール広場)」のすぐ近くの「Puerta del Embarcadero(埠頭の入り口)」から入るとわかり易いです。
 
入り口を入って、左手にゆったりと流れるタホ川を見つめながらプラタナスの並木道をまっすぐに進みます。ゆっくりと歩いて約10分、突き当りが歴代国王のEmbarcadero(埠頭)で、カルロスW世、イサベルU世等、時の支配者は皆この埠頭から船に乗り、タホ川の景観を楽しまれたのです。

 船乗りの家
 
ここからタホ川沿いに道なりに右に曲がり、すぐ突き当たりに見えてくるのが「Casa de Marinos(船乗りの家)」とレストランテ「El Castillo(エル・カスティージョ)」です。
 
船乗りの家は、博物館となっており、宝物庫にはカルロスW世、フェルナンドZ世、イサベルU世等が所有していた豪華な船や当時の船舶グッズ、絵画が展示されています。
 
王子の庭園は、総面積が150万平方メートルと広く「一回り徒歩で」と、言うことになりますと、かなり体力を使いますので、広大な王子の庭園の中でただ一軒のバル、レストランテ「エル・カスティージョ」で一休みするといいでしょう。入り口が物々しく、ちょっと入り難い感じがしますが、カマレロさんたちが、コーヒー一杯でも親切に応対してくれますし、バルの壁面には、現カルロス国王やホアキン・ロドリーゴがお忍びでエル・カスティージョを訪れた時の写真が飾ってありますので、ホアキン・ロドリーゴの名曲「アランフェス協奏曲」に思いを馳せながら静かにカフェ・コルタード(エスプレッソ・コーヒー)を飲み、自分だけのノスタルジックな世界を演出されるのも旅の思い出になることでしょう。
 コーヒー一杯が1.1ユーロ(約150円)、ギンギンに冷えた生ビールが一杯1.5ユーロ(約195円)ですから、ラ・マンチャ名物のアセイトゥーナス(オリーブの実)をつまみながら陽気なカマレロさんたちと話しこむのも楽しいと思います。
 また、バルにはきれいな無料のトイレもあります。

                    
                   
歴代国王の埠頭から美しいプラタナスの並木道を進むと、
            前方右側が
Casa de Marinos(船乗りの家)、正面がバル、レ
            ストランテ
El Castillo、遠くに見えるのは、王子の庭園からア
            ランフェスの街を一周しているチキ・トレイン
です。

                     
          
総面積150万平方メートルのJardin del   王子の庭園の中にあるレストランテEl
          Principe
(王子の庭園)。カルロス四世の命   Castillo。長い歴史と伝統を感じさせる。
      
で18世紀末に造営された庭園で、市民の憩  現カルロス国王やホアキン・ロドリー
      いの場となっています。西洋ポプラの並木 
  ゴがお忍びで訪れたレストランテとし
      
道が美しい。               ても有名です。

           
 

 
Casa de Marinos(船乗りの家)
          
かつてスペインの王族がRio Tajo(タホ川)での船遊びの拠点となった船乗りの家
          (左)には、カルロスW世、イサベルU世などの王家の船が展示されています(右)。

               

                      
船乗りの家(写真左手)付近を走るチキ・トレイン。

 Los Chinescos(中国風の池)
 
船乗りの家からタホ川沿いに少し進み、道なりに左に曲がると、大きなプラタナスの並木道が続きます。道中は日中でも木立の緑陰が心地よく、聞こえるのはタホ川のせせらぎと野鳥の鳴き声だけの静かな世界です。森の中に目をやると、リスや雉、鶉、孔雀等のかわいい小動物や美しい野鳥類を見つけることが出来ます。
 
まっすぐな散歩道を約1キロ歩くと、進行方向右手に「Los Chinescos(中国風の池)」があります。この池は、深い森の中にありますので、自分の距離感覚で約1キロをイメージし、進行方向右手の森の中を注意深く見てください。そのまま歩き続けていますと見逃してしまいます。

             

                   
水面に美しい緑陰と噴水を映し出す「Los Chinescos(中国
            風の池)」。手
前は1791年に建てられたイオニア式の
            大理石のパビリオン。左は18
16年に建てられた中国風
            の野外音楽堂。


 Fuente de Apolo(アポロの泉)
 
Los Chinescos(中国風の池)」から、タホ川沿いの道に戻ると、「Fuente de Apolo(アポロの泉)」があります。Apollon(アポロン)」は、ギリシャ神話に登場する美しく男性的な神として、また音楽・医術・弓術及び予言者としての優れた能力と、光明の神として太陽と同一視される程の「全知全能の神」として信仰の対象となっています。

             

                  
「中国風の池」のすぐ近くにあるFuente de Apolo(アポロの
            泉)と
「全知全能の神」アポロンの像。

 農夫の家
 森の中のLos Chinescos(中国風の池)から再びタホ川沿いのCalle(通り)に出て庭園の奥へと進みます。進む方向は、タホ川をいつでも左手に見て進みますので、方向感覚をしっかりと頭に入れておきましょう。中国風の池から更に約700メートル進むと、進行方向右手に農夫の家があります。農夫の家も、森の中を少し入りますが、道がきれいに整備されていますので、案内板を注意して見ていれば見失うことはありません。
 
農夫の家は、カルロスW世が1803年に王妃マリア・ルイサと自分自身の為に造らせたのですが、内部はその建物の名前とはほど遠い豪華なフランス・ロココ調スタイルで飾られ、随所に見られるベルサイユ宮殿に似せた建物・庭園やネオ・クラシシズム(新古典主義)の影響を強く受けた家具・調度や絢爛豪華なその室内装飾は、あたかもブルボン王朝の贅を尽くした芸術品の数々のようでもあります。

                     
                    
Casa de Labrador(農夫の家)。内部は、質素な外観からは
             想像も出来ない
ようなネオクラシック(新古典主義)様式
             の小宮殿です。

           
 

                    


 農夫の家出入り口
 
農夫の家からPuerta de la casa del Labrador(農夫の家出入り口)へは、農夫の家を背にして緑濃いプラタナスの並木道を約300メートル歩きます。ここから帰路は、王宮庭園の中を戻るか、農夫の家出入り口を一旦出て、Calle de la Reina(レイナ通り)を戻るか、コースは二つになります。どちらのコースを戻るにしましても、農夫の家入り口で右折します。春は新緑と桜、秋はプラタナス、西洋ポプラ、マロニエの黄葉と落ち葉の絨毯の中を歩きながらスペインの王宮とハプスブルグ家の歴史に思いを致すのも、メルヘン・チックな一時かと思います。帰路のこのコースは、どちらを歩くにしても、30分もあれば十分です。

           
     
             Casa del Labrador
(農夫の家)から農夫の家入り  Puerta de la casa del Labrador
            
口へと続くプラタナスと西洋ポプラの並木道。   (農夫の家出入り口)。