マドリッド通信>49号
オーラ ケ・タール?青空と太陽の季節となりましたが,お元気ですか。
スペインでは,6月に入って気温が一気に35〜40度に上昇しております。強烈なラ・マンチャの夏がやってまいりました。この時期,6月の第2週からは多くの企業が夏時間勤務体制をとりますから,我が家の前の片側4車線ある国道6号線も,午後3時前後には家路へと急ぐ車で大渋滞するほどです。
▼夏時間勤務体制▼
スペインで生活をしていると,この国独特の古くからの生活習慣に気がつきます。シェスタの習慣などは,日本ではとても考えられないような,スペインならではの生活の知恵でしょうね。この国で働いてましてね,ラ・マンチャの畑でよくわかったのですが,もう午後3〜4時の時間帯などは暑くて,とても仕事してられないですよ。ですからこの時間は、ゆっくりとワインを飲みながら家族と共に昼食をとり,一時休息をとる過ごし方が定着したのでしょうね。
夏時間勤務体制とは,このようなスペインの人たちの生活習慣に合わせて,企業の多くが,おおよそ6月15日前後から9月第2週頃まで,午前9時から午後3時まで働き、一日の仕事を終えるのです。スペインの社会はこの点,非常に合理的に出来ておりまして,6月と12月の給与支払いの時,更にバカシオーネス分としてそれぞれもう1ヶ月分加算支給されます。加えてこの時期には,30日のバカシオーネス(長期休暇)が認められており,これを夏と12月に分割する選択の自由もあるのです。とても労働者が優遇されている国だと思います。
私の「日本語教室」で日本語を学習している生徒に,バカシオーネスはどこへ行くのか聞いてみましたら,何と二人の生徒が日本へ行くのだと言っておりました。さらに「日本のどこへ行くのが楽しみか」と,たたみかけると,「秋葉原」なのだそうです。日本の優れたエレクトロニクスの技術への関心の度合いは大変なものです。
最近スペインという国で,目に見えない大きな変化を感じます。私が1994年にマドリッド日本人学校へ赴任した頃,マドリッドの街を走っているとよく「チノ、チノ」と呼ばれました。チノと言うのは中国人のこと,転じて中国人への差別
用語として使われていたのです。私が中国人と見えたのではなく,中国人と日本人の区別がつかないのです。当時私は,「チノ」と言う呼びかけ、差別用語に対して「ノッ チノ,ソイ ハポン(いいや,中国人じゃないよ。私は日本人だよ)」とむきになって言っていたものですが,ここ何年か「チノ,チノ」と言う,あの何とも不愉快きわまりのない忌まわしい言葉を耳にしなくなりました。EU統合に合わせた教育改革がスムーズに進み,英語を話すスペインの若者が増加し,これら若者層に「日本」と言う国が理解されはじめているのです。
フランシスコ・ザビエルが日本へキリスト教を伝えたのが1549年,日本とスペインとの関わりはずいぶん長いと思うのですが,やはり遠い国なんですね。
▼バカシオーネス前の大売出し▼
私がよく買い出しに行くラス・ロサスのマーケット「プリカ」や,ポスエロの街のデパート「イーペル・コール」では,6月に入ってバカシオーネス前の大売出しで活気があります。プリカなどでは,ビール1缶55ペセタ,えっ・・55ペセタということは,ええと35円だな−。水はいくらしているんだろう,水は1本100ペセタ,うん65円か,それでは水ではなく,ビールを飲まないと悪いなと思うのです。
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| このコーナー全部ビール。マオー,サンミゲル,クルス・カンポ等1缶35円。
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こちらはトマトとバレンシア・オレンジ。ともに1個10円。
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私自身,非常に興味と関心のある事ですので,本格的に調べて見ました。この調査は,41号でも日西物価比較として取り上げておりますので,出来るだけ重複は避けてお伝えします。
(2000年6月1日 プリカ調べ 単位円換算)
| 品 名 単 位 価格(円) |
品 名 単 位 価格(円) |
牛肉(子牛) 1Kg 930円
豚肉(上) 1Kg 775円
鶏肉 1Kg 350円
羊肉 1Kg 1,030円
フランスパン1本 35円
バケット 1本 55円
いちご 1パック 105円
さくらんぼ 1Kg 225円
オレンジ 10個 150円
メロン 1個 195円
夕張メロン 1個 200円
レモン 8個 150円
ジャガイモ 15個 165円
玉ねぎ 4個 95円
トマト 10個 105円
レタス 1個 50円
砂糖 1Kg 95円
コーヒー 100g 270円 |
チーズ
ゴルゴン 255g 290円
ロック 200g 360円
ブリー 359g 250円
ババリア 1Kg 1410円
ハモンセラーノ1Kg 1050円
ビール 1缶 35円
(通常は45〜50円)
ビノ
クリアンサ 一本 650円
レセルバ 一本 1300円
グランレセルバ一本 3500円
牛乳 1リットル 85円
ヨーグルト 1個 45円
オリーブオイル1リットル 280円
ガソリン 1リットル 100円
新聞 1部 70円
地下鉄 全区間 90円 |
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| ラス・ロサスの街のスーパー・マーケット「プリカ」。バカシオーネス前の大売出しで活気があります。 |
スペイン人のこよなく愛する「ハモン・セラ−ノ(生ハム)」。爪の黒いハモン・イべリコが美味。 |
前回の報告と多少価格差のある品目もありますが、日本と比べて生活必需品、特に野菜・果物・肉類そしてビノ・ビールなどの飲み物類がとても安く,生活しやすい国です。
失業して収入がなくなっても,ジャガイモとパンを食べてビールを飲んでいれば過ごせますから心配ありません。
▼外国為替相場に一喜一憂▼
私たちがスペインで生活するにあたっては,日本の銀行からスペインの銀行へ外為送金を依頼する事になります。日本の銀行から円で送金してもらい、ペセタに換金して使うか、あるいはカードで買物をするかどちらかになるわけですが,私はペセタのカードと円のカードの両方を使い分けております。と申しますのは,ご存知のように為替レートは毎日変動していますから,大きな買物をする時にはインターネットで当日の為替相場を引き出し,数字を確認し,「よし」と言うタイミングをねらって支払いをします。
今,100ペセタが60〜62円前後ですが,昨年の今頃は80円前後でした。1年間で100ペセタに対して20円の円高です。私たちはニコニコと笑顔ですが,逆の立場の人たちは大変ですね。
先週,いつも日本への航空券をお願いしているマドリッドの旅行代理店で,終業式が終ってから日本へ一時帰国する為の手続きを済ませました。チケット代金が日本往復で98000ペセタ,これをペセタで支払うのではなく、円のVISAカードで支払うと59780円なのです。日本往復ですよ。48号のコラムでも申し上げたのですが,私はどうしてもわからないのです。日本でマドリッド往復を買うといくらするんですか。同じ航空会社のチケットですからね。変だな−。
▼やはりおかしいよ「あいさつ」に多数の声▼
マドリッド通信48号で,私が日頃感じている日本のあいさつについて発信しましたら,「私もそう思う」「全く同感です」と言うEメールを多数いただきました。Yahoo!Japanを通じて「マドリッド通信」を御覧になっている皆さん,本当に有り難うございます。
私は昭和39年から日本の中学校で,そして今もスペインの学校で子供たちを指導しておりますが,外側から日本の社会を見て一番変だな・・と思うのは「あいさつ」です。これは,大人も子供もです。朝,顔を合わせて「無言」でいることは、変なのです。
少しおかしいと思うことを「変だ」と思わなくなりつつある日本の社会を,私たち大人が範を示す時です。誰に対しても「オーラ ケ・タール」です。
「水がまだ二口残っている」
ラ・マンチャの畑を開墾した初日,私は経験不足から水のボトルを一本しか準備しませんでした。照りつける日差しの中,夕方の4時頃にふとボトルを見ると,水がもう底の方に少ししかありません。大丈夫かなと心配になりましたが,同時にへミングウエイの「老人と海」を思い出しました。サンチャゴが巨大なカジキマグロと死闘を繰り返し,帰途サメに襲われている最中にも「瓶の中には水がまだ二口残っている」と言う,あのくだりです。「底の方に少し」ではなく「まだ底の方に水がある」と思ったら,気持ちがすっと軽くなりました。でも,極限に追い込まれてもこれが出来るかな−。
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カセ・スペインEメール・アドレス
kasespain@tocco.es
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