マドリッド通信>50号
オーラ ケ・タール?
お元気ですか。
7月に入って,マドリッドの街にはスペインの人たちの姿が少なくなってしまいました。長期のバカシオーネスで,スペインの人たちは今,家族をあげて海や山へ出かけてしまっているのです。
EUがほぼ統合され,後は2002年1月の通貨の統合を残すのみとなったヨーロッパですが,スペインの社会に残っているバカシオーネスやシェスタ等の生活習慣は少しも変わっていません。
シェスタの習慣などは,他のEU諸国が21世紀に向けていかに急激に変化しようとも,私個人としては是非守って欲しい生活習慣だと,かねがね思っているものですから,スペインの人たちのこの頑固なまでの「自分たちのライフ・スタイル」を守るための努力に,エ−ルを送りたくなります。
さて「マドリッド通信」,平成6年4月にマドリッド日本人学校校長として赴任し,第1号を発行してから今回で50号となりました。記念すべきこの50号は,私が日本へ一時帰国すると良く聞かれるスペインのことについて,また,私のホーム・ページのQAルームで話題になっている事を中心にまとめました。
Q 南の国スペインの気候は,どんな気候ですか。四季はあるのですか?
A スペインの気候は日本とあまり変りません。首都マドリッドは,イベリア半島の中央 部,標高655メートルのメセ−タ大地の上にあるので夏の暑さが厳しく,また一日のうちでも昼と夜の寒暖の差が大きい大陸性の気候です。
特に6月中旬から8月一杯は,日中の気温が40度前後の日が続きますが,乾燥しているため室内ではさほど暑さは感 じません。この点,日本よりも過ごしやすい気候です。
Q スペインの食べ物はどうですか。スペイン料理は美味しいですか,また,日本人の口 に合いますか?
A 私が夕方マドリッドの街を走っていると、どこからともなく懐かしい香りが漂ってきます。ニンニクをオリーブ油でいためているのですね。
スペイン料理は素材に,ニンニク,オリーブ油,魚,米等を良く使いますから,私たち日本人の味覚に近い物を感じます。加瀬忠が個人的に美味しいと思っているスペイン料理のベスト5を上げます。
1位 肉料理類では, コチニージョ・アサド(仔豚の丸焼き)or カルネ・デ・テルネラ(子牛を岩塩で焼いたもの) 3位 パエジャ(魚介類を使った炊き込みご飯) 4位
トルティージャ(スペイン風オムレツ) 5位 ガスパチョ(ニンニクの効いたアンダルシアの冷たいトマト味スープ)等があります。
さらにハモン・セラーノ,チョリソ,チーズ等が美味です。
Q 日本とスペインでは,時差がどのくらいあるのですか?
A 通常は8時間ですが,夏季にはサマー・タイムとなりますので,7時間となります。従って,日本の正午はスペインの明け方の4時となります。
Q スペインの物価は,日本と比べてどうですか?
A スペインの物価は,総体的には日本の三分の一くらいでしょうか。ものによって異なりますので,一概には言えない面もありますが,食料品,日用雑貨品などは相当安いです。しかし,電気製品や衣料品などは日本よりも割高です。また,医療費も日本と比べて高めです。
しかし,スーパー・マーケットなどへ行って驚くんですが,ビールが一缶35円,ト マトやジャガイモが1個10円,フランスパンの大きいのが1個30円とかね,もしも
失業して収入がなくなっても,トマトやジャガイモをつまみにしてビールを飲んでいれば過ごせますから,住みよい国です。
Q スペインと日本ではどちらが暮らし易いですか?
A もちろんスペインです。理由は以下の3点です。
1 オーラ・アミーゴのラテン人気質が私は大層気に入っています。親切で明るい大らかな国民性,いらぬことで他者を干渉しない成熟した大人の社会を感じます。
2 物価が安いこと。スペインで生活していてありがたい事は,とにかく生活必需品が安い事です。これは前の説明のように,食料品や日用雑貨に加え,電気・ガス・水道料金等も日本と比べると,割安です。もっとも,私のスペイン生活は,電気製品,衣料品等は全て日本から持って行きますから,一般のスペイン人と全てを比較する事には少し無理があると思います。
3 気候が良い事。カラリと晴れ渡った輝く太陽の国。私が畑を耕しているラ・マンチャのマラゴン村などは,年間300日の晴天です。夕方マラソンをしていましてね,気温はすごく高いのに余り汗をかかないんですよ。それでもノドはカラカラで,走り終わった後のビールとビノの味は格別です。
こぼれ話し (夏の日本にて)
炎天下で10K走ると,汗をどのくらいかくのか,昨年に続いて今年もこの馬鹿なことをやって見ました。湿度80%,35度の日本では実に2リットルの汗を流します。でも終ってから妻沼東中学校時代の教え子におこられました。「先生,年を考えて下さい」と。
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Q スペイン,ヨーロッパの治安はどうですか?
A ウーン,これは困ったものです。今回もそうだったのですが,一時帰国で成田へ到着しましてね,電車に乗りますと荷物から離れて座りますよね。で,東京までの間に居眠りをしているんですよ。気がついたら東京駅なんですね。こんなこと,ヨーロッパやスペインでは考えられません。目がさめたらスーツ・ケースごとなくなっていますから。残念ながら,治安は相当悪いです。スリ,強奪,盗難等は日常的です。
Q 役目を終えた闘牛は,どこへ行くんですか?
A はい。これについては,すごく興味のある人と、まったく興味を示さない人とがいる ので,興味のある方だけ読んで下さい。
闘牛の行方
マタドールと勇敢に戦い,役目を終えた牡牛は馬に引かれて先ず場外へ運び去られます。闘牛場に隣接して,闘牛専用の解体場があり,解体を受け持つ屈強な男・女が到着した勇敢だった牡牛の解体に取りかかります。
先ず角が鋸で切られ,次に足,そして皮が剥がれます。内臓がきれいに洗われると、運搬用のトラックに積み込まれます。ここまで何と20分。この手際の良さは驚きです。最も,20分後には次の牡牛が運び込まれますから,のんびりと仕事をしているわけにはいきません。
さてさて,トラックで運ばれる牡牛君の行方は,そうです・・マーケット,メルカドです。「本日のトロスの特売! 1Kg950Ptsだよ−」と相成ります。剥がれた皮は,マドリッドの南120Kにあるラス・ベンタスの街に運ばれ,見事な皮製品に生まれ変ります。ハイ。すみません,カセ・スペイン最後まで全部見ていました。
Q えっ・・闘牛の肉はマーケットで売られてしまうんですか?
A そうです。マーケットには特別コーナーが設けられ,他の牛肉よりも少し高めで売り出さ れますが,かなり人気があるので売りきれるのも早いです。
そうそう,スペインの人たちと日本の人たちでは,肉の選び方がずいぶん違いますよ。日本では牛肉ですと「霜降り」の肉が好まれますが,スペインでは「霜降り」ではないんですね。一番人気はカルネ・デ・テルネラ(子牛の肉)です。このカルネ・デ・テルネラ,オリーブ油を熱してポコ・エチョ(生焼き)にし、岩塩を加えて食べますと,イヤ−・・美味しいですね。
Q 闘牛はマタドールのかざす赤いムレタめがけて突進していますが,色が識別出来るのですか?
A いいえ,牡牛は赤いムレタに向っているのではないのです。マタドールのかざす赤いム レタの動きに反応し,動いているものに突進するのです。
それにしましても,マタドールは命がけですよ。私はマドリッドのベンタス闘牛場へは良く出かけるのですが,マタドールが牡牛の角にかけられて倒される事が多いんです。 スペインの学校へ赴任した最初の頃は,闘牛はショーで「マタドールが牡牛に倒される事などあり得ない」と思い込んでいたのですが,幻想でした。
闘牛は,見れば見るほどハラハラと怖くなり,そしてまた見たくなります。昨年の秋だったかな,日本からのお客さんをベンタス闘牛場へ案内した時は,3人のマタドールが全員,牡牛の角にかけられて倒されてしまいました。マドリッドのベンタス闘牛場へ登場するマタドールは,スペインでも一流のスター闘牛士なんですが,あの時は驚きました。
Q シェスタってなんですか?
A スペインの人たちのライフ・スタイルを語るとき,このシェスタの習慣を理解しなければ,他のこともなかなか理解出来ないです。午後2時〜4時半ないし5時の時間帯がシェスタの時間です。この時間帯は官公庁,学校,商店等皆お休みです。スペインの人たちはこの時間に昼食をとりワインを飲んで
一休みします。日本ではとても考えられないですよね。それでも,世界の国の中には経済性,生産性だけを考えるのではなく,ゆったりと人生を楽しみながら生活をしている国があってもいいような気がします。ビーバ・エスパーニャ!
Q そんなに昼休みを長くとって,いつ働くんですか?
A スペインの人たちと一緒に生活をしていて感ずるんですけれど,仕事に対する考え方が私たち日本人と基本的に異なる部分があるんですね。まあ,人生観の相違と言ってもいいのですが、私がラ・マンチャの畑で一緒に仕事をしているドミンゴさんやへススさんが良く話してくれる事は「Sr.カセ,私たちは自分たちが貧乏だ何て思ったことは一度もないね。まして,お金のために徹夜の仕事をすることなど考えてもみないよ。
家族を愛し,美しい故郷を誇りに思い,一日一日を楽しく過す。それが私たちスペイ ン人の人生なんだよ」とね。
「なるほどな−」と,思いますよ。一方我が国では,仕事のためにはね,時に家庭を 顧みず,犠牲にしてまで仕事に打ち込むことがよしとされてきた社会でしたからね。ドミンゴさんたちは,人生,経済性・お金だけよりも「楽しくゆとりのある生活」を選択しているのですねー。
学校教育としつけ
マドリッド通信48・49号で,やはりおかしいよ「あいさつ」として,あいさつが出来ていない現状を発信しましたら「そうだ」と言うたくさんのメールをいただきました。50号ではもう1つ「しつけ」について発言します。
これも日本へ一時帰国中に感じていることなのですが,レストランなどへ食事に行きましてね,そうしますと,若いお母さん方が就学前の子供たちを連れてやはり食事に来ているのですが、子供たちがレストランの中をワーワー走り回っていても,それを注意しないんですよ。自分たちはお喋りに夢中で。これでは子供が学校に上がっても,先生の話を一時間静かに聞く事など出来ないですよ。小学校低学年を中心にした「学級崩壊」は,このあたりから始まっている事も知って欲しいのです。 学校教育と家庭教育の分担をもう1度皆で考える時です。
繰り返して言いますが「子供の基本的なしつけ」は,家庭教育の責任です。 |
アディオス
カセ・スペインEメール・アドレス
kasespain@tocco.es
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