マドリッド通信>51号

 オーラ ケ・タール?6月の第2週前後から,気温が35〜40度を越える程にギラギラと輝いていた「ラ・マンチャ」の強烈な夏の太陽も,9月の声とともに優しい日差しに変り,スペインではナバセラーダの山々に沈む夕陽の美しい季節を迎えようとしています。
 9月はまた,新しい学年の季節でもあります。スペインの現地校は9月第2週が学年始めですから,子供たちはまだ夏休み中でキャンプ等から帰っていない子が多く,私たちのピソもヒッソリと静かで,人恋しさを感じさせます。

アッ・・コンコルドだ!
 スペインに長く住み,マドリッドと東京を往復しておりますと,乗る飛行機の関係でいろいろと予想も出来ないようなハプニングが起こります。一番多いのがスーツ・ケースの紛失ですかね。荷物がご主人様と別の飛行機に乗せられてしまったり,取り残されてしまうケースです。飛行機のトラブルでは,困ることの方が圧倒的に多いわけですが,私がマドリッドから東京へ向かう途上,パリで起こったトラブルは,まあ「こんなこともあるな・・」と思えるケースでしたので,ことの顛末をちょっと紹介させていただきます。

 マドリッドからパリのシャルル・ドゴール空港経由で東京へ向うはずだったのですが,私たちが連れて行かれたのは,パリのオルリー空港でした。もちろん予定の飛行機には乗れませんから,その日はパリで一泊です。翌日,朝早く起き,いつものようにジョッキングの為にホテルを出ましたら,そのホテルがシャルル・ドゴール空港のすぐ近くだったんですね。目の前に三角の翼の美しい「コンコルド」が機体を休めているではありませんか。私は飛び上がらんばかりに喜びましたよ。「本当に,コンコルドなんだろうな。夢ならさめてくれるな」と思い,もう一度目を凝らして見つめましたが、やはりコンコルドなんですね。すぐにカメラを取りにホテルへ引き返し,写真を写しました。
 コンコルドは,私の大空へのノスタルジアを誘ってくれるあこがれのジェットです。前からパリ〜ニューヨーク間に就航しているコンコルドに是非一度乗ってみたいと思っていたのですがまだ実現していませんし,実物を見るのもこれが初めてでしたから,今回のパリでのトラブルには,実は感謝している次第です。
 それにしましても,我があこがれのコンコルドが落ちてしまうなんて,信じられないですよ。日本でよりもEU域内,とくにフランス国民の落胆ぶりは気の毒なくらいです。  フランスの人たちは,自慢の超音速ジェット旅客機が落ちるなどとは今でも思っていませんからね。

シャルル・ドゴール空港の
コンコルドの美しい機体

スペインで私も考えた
 今年は終業式終了後,夏休みは日本へ帰っていました。カセ・スペインのバカシオーネスです。スペインへ戻って学校も始まり,平常の生活に戻ったわけですが,夕方マーケットへ行って買物をしながらどうしても考えてしまうんですね。「日本とスペインのこの物価の差は何なのだろう」と。日本はどうしても,食料品や他の生活必需品の値段が高すぎますよ。日本にいましてね,私は野菜サラダが好きなものですから,トマトやレタスをマーケットで買いますと,何とトマトが一個100円もするんですね。少し大きめで形が良く,サラン・ラップで包んではありますが,形などはどうだっていいと思うんですよ。一個100円のトマトでは,日常的にサラダも食べられません。これって,日本の人たち皆不思議に思ったり,疑問に感じたりしてないんでしょうか。  「日本とスペインでは,どちらの国が住みよいか」と,日本へ帰ると良く聞かれます。私は迷わずに「それはスペインですよ」と答えるんですが,住みよい国,生活のしやすい国の条件の一つとして,食料品や生活必需品等の物価の安さがあると思うんですよ。
 私たちの祖国日本もね,もう少し物価高の問題が解決されれば,ずいぶん住みよい国になると思うんですがねー。

 スペインで一食100円で過す献立
 スペインで失業し,収入の道が途絶えてしまったら・・それでも心配ありません。カセ・スペインが一食100円の献立を考えました。
 先ずビール一缶35円。つまみはジャガイモにバターをつけて2個で20円。トマト大きいのが一個で10円。主食はフランスパン,35円。これでちょうど100円。数学が苦手なカセ・スペインでもこれくらいの計算なら出来ます。なんて言ったって,ビール一缶35円というのがいいですよね。もし御希望なら,ワインをウナ・コパ(コップ一杯)追加しても,さほど予算はオーバーしませんよ。ビーバ・エスパーニャ!

 「ところで,カセ・スペインさんに質問です。ノドが乾いたらどうするんですか,水を飲むんですか」「いいえ,水は高いのであまり飲みません。やはりビールです」
 日本のレストランへ行きますと,料理を注文する前に水とか日本茶とかがサービスで出てくるでしょう,あのサービスはヨーロッパにはありません。水もお茶も注文しますと有料ですから,それならスモ・デ・ナランハ(オレンジ生ジュース)とかビールとかを飲みますよ。

ビール一缶53Pts(30円)。この日は大売り出しの日だったので5円安。通常は一缶35円。                 トマトは一個10円。安くて新鮮なので夕方遅く行くと売り切れてしまう。向こう側はジャガイモ。

バカシオーネス期間中は工事もお休み

 今,私のピソのすぐ近くで大きな工事が行われています。新しいピソが出来るのですが,工事の仕方を見ていると「これで大丈夫かな」と,思ってしまいます。  私が7月に日本へ帰りましてね,2ヶ月後に戻ってみると,何と,工事が全く進んでいないんですね。「ハハ−・・バカシオーネス期間中は工事現場もお休みなんだ。納得・納得」  そうなんですね。スペインの社会の仕組みは,非常に合理的に出来ておりまして,どのような階層の人たちでも,夏季30日のバカシオーネスが認められており,しかも雇用者は、6月に,もう1ヶ月分の給与を支払うのです。バカシオーネス分ですね。  日本の中学校で校長をしていた頃,夏休はたしか3日でしたっけね。それも部活動の指導やプールの指導やらで満足に休めなくて,それでも文句も言わずに頑張ってくれているのが実態ですものね。  スペインの人たちはこの期間,家族で海や山へ出かけます。すごくいいと思います。うらやましいですよ。すごく家族を大事にしますからね。  今ね,日本の学校で,夏の7月か8月に連続で30日の休みと1ヶ月分の給与をくれるから御自由にどうぞ,と、言われたら、私たちは何をするのでしょうか。  私たちは毎日忙しく,追いまくられる生活をしているものですから「時間とお金をたっぷり上げますから,ご自由にどうぞ」と、言われてもどうしたら良いのか,行動様式がわからないんじゃないでしょうか。  私は,日本の中学校の校長時代に「今,何が一番欲しいか」と聞かれて「そりゃ−自由ですよ」と冗談半分に言っていたものですが,スペインの人たちと私たち日本人はこのへんの人生に対する考え方がだいぶ違いますね。人生観の相違といったら良いのかも知れません。
休日の昼下がり,
ビールを飲みながら生演奏を聴き,
ゆったりと過す人たち。
マヨ−ル広場にて。
 こぼれ話
 カセ・スペインのラ・マンチャの農場で育てていた枝豆と大根の其の後ですが,やはり 心配していたとおり羊の大群に何度か襲われ,ほとんど食べ尽くされてしまいましたが,それでもたくましく生き残った枝豆と大根の一部は,立派に成長していました。感激です。
 日中の気温が40度を越す乾いたラ・マンチャの大地でも,潅水さえしっかり出来れば,温暖湿潤気候の作物でもうまく育つことがわかりました。ドミンゴさん,へススさん有り難う。

 ひとりごと
 7・8月と,2ヶ月もスペインの我が家を留守にするとなると,さあ・・心配事がたくさんあります。先ず我が家の安全,セキュリティ−の問題ですね。次が車のこと,屈強なドイツ車と言えども,2ヶ月も乗らないでいれば動かなくなってしまうでしょうからね。
 そこで,カセ・スペイン考えました。鍵を全部ポルテロ(管理人)さんに預けてお願いしてしまいました。ポルテロさん曰く「お前にたのまれたのではしょうがね−や」と言って,快く引き受けてくれました。もちろん,スペインに帰っても我が家も我が愛車も無事でした。海外に住むと疲れます。ハイ。

カセ・スペインEメール・アドレス
kasespain@tocco.es