マドリッド通信>52号

 オーラ ケ・タール?マドリッドでは,10月に入って,街路樹のマロニエや西洋ポプラが急に色づき始めました。街中の温度計にふと目をやると,朝・晩は5?6度くらいにまで気温が下がっています。黄葉の季節です。
 夕方,ジョッキングの帰りに見るナバセラーダの稜線は,沈む夕陽で真っ赤に燃え,砂上の楼閣的な,現実を離れた幻想を覚えます。科学を超えた自然の美しさに圧倒されます。
 この美しい山並みを見つめながら,祖国を守るためにここで激戦を交え,国際旅団が共和国軍に加わって「自由と正義」のためにファシズムと戦った,「スペインの内戦」に思いを馳せる一時も,私の一日の疲れを癒してくれます。

スペインの秋祭り

 10月はフィエスタ(お祭り)の季節です。スペイン各地でも秋祭りが行われ,盛り上がっています。私たち日本人のお祭り好きは相当なものですが,スペイン人も負けていませんよ。私の住んでいるラス・ロサスの街の秋祭りも,それは賑やかでした。
 何しろ秋祭りが始まりますでしょう,そうしますと延々と2週間続くんですから。その間,街のメイン・ストリートはエンシエロ(牛追い)のために街外れの闘牛場までの約1K,鉄柵で囲われてしまうのです。後半の一週間は,毎日午前中がエンシエロ,午後が闘牛です。教会の前広場では,街の旦那衆が総出で朝からパエジャを作ったり,牛肉の塊やチョリソで煮込み料理を作って,ビノと共にサービスをしています。これ,皆,街の男衆が取り仕切っています。もうこの間,ほとんど仕事をしていないんですからね―。お祭りにかけるスペインの人たちの時間とエネルギーは大変なものです。
 ところでこの大鍋のパエジャ,鍋の直径が何と3メートル,700人前のパエジャを一度に炊き上げる事が出来ます。スケールの大きさが違います。時間もかかりますよ。具を仕込んでから炊き上げるまで,4時間半かけていました。
それで,気になる味加減ですが・・長い行列に妻が並んで,私もいただきましたが,それは美味でした。何しろエビ,カニ,ムール貝、鶏肉等の具が惜しげもなく無造作に入っているのですから。
教会前の広場で作られる大鍋のパエジャ。鍋の直径が3M,深さ30Cm,ざっと700人前の出来上がり。

エンシエロ(牛追い)と闘牛
 秋祭りりのメイン・イベントは,やはり何と言ってもエンシエロと闘牛ですね。これが始まると,私はもう,仕事も何もそっちのけ,まったく手につきません。スペインのエンシエロでは,へミング・ウエイが「日はまた昇る」の中で描いている,パンプロ―ナの「牛追い」が有名ですが,ラス・ロサスの「牛追い」もなかなかどうして,大層な盛り上がりようです。

午前中の「牛追い」。ラス・ロサスの街中の人たちが
総出で祭りを盛り上げます。
午後の闘牛。マタドールの見事なムレタさばき。
突進する半トンもある牡牛。

今年は角に触ったぜ
 エンシエロの主役は街の若者たちです。何しろ,半トンもある,闘牛用に育てられた牡牛が疾走すると,相当な速さですし,その上視野に入ったものには何にでも向って行く性質のある牡牛が相手ですから,柵の中に入るのは足に余程自信のある若者に限られます。
 エンシエロの期間中には,街の役所から注意書きが渡されます。その1項目に「もし走り合いの最中に,足がもつれて転んだら絶対に起き上がるな。その場に伏せなさい」とあります。
 それでも街の若者たちは「今年は角に触ったぜ」「俺は首までいったよ」と自慢し,エンシエロの成果を語り合います。
 午前中に闘牛場へ追いこまれた6頭のトロス(闘牛用の牡牛)は,午後の闘牛で,3人のマタドール(闘牛士)と対決する事になるのです。

人生、今楽しまないでいつ楽しむんだね
 ここの秋祭りの期間中,私以上に仕事が手につかない人たちがたくさんいます。そのうちの一人が床屋のおやじさんです。もう準備の時からね,私が夕方ジョッキングをしていると店の前に立って祭りの準備の進み具合を見ているんですよ。毎日ですよ。
 それでエンシエロの期間中はね,今度は闘牛場の切符売り場のところに係り員のようにして立っているんですね。これも毎日ですよ。闘牛が始まるのが午後5時半ですから,スペインではシェスタがあけて,店の一番忙しい時間なのに闘牛場にいるんですねー。
 私も毎日欠かさずに闘牛場へ行くものだから、おやじさんも同じ事を思っていたようですが,最後の日におやじさんに聞いてみたんですよ。「おやじさん,今仕事は休みなの」とね。そうしましたら「ガハハハ・・仕事ね―。そう言う考え方もあるなー。でもなー,俺はいつも酔っ払っているから。まあ・・人生うたたかの夢,今楽しまなくっていつ楽しむんだね」と,人生論を語ってくれました。そうです。私たちは仕事や人生に真面目になりすぎているのかもしれませんね。
 人生ゆったりと悠揚迫らず,泰然自若として毎日の生活を楽しむスペインの人たちの生き方からは,学ぶところが多いんですよ。

 ひとりごと-マドリッドの理髪師-
 ロッシーニの歌劇「セビリアの理髪師」は,学生時代に箱根駅伝のトレーニングをしながら良く聞いたノスタルジック・サウンドです。
 マドリッドでは,自分自身の散髪にその情景を重ねていましたが,私の仲良しの床屋のおっさんは,少し違いました。何しろ店にあるのは椅子と鏡だけ。散髪が終って襟足を剃るのにも、石鹸も水もつけずに剃るものですから痛いの何の,とにかく乱暴なんですよ。それでも散髪代が1,300Pts(約700円),100Ptsのチップでサービス満点でおしゃべりがはずむスペインの人たち,いいなー。

「金融ビッグバン」の時代
 私は今,熊谷とマドリッドの間を最低年3回は往復しています。
 スペインと日本で生活をしていると,日西及びEU諸国との比較において,それぞれの国の長所,短所が良く見えてきます。
 今の私の生活は,当然のことですけれども日本の円とスペインのペセタで生活しているわけですが,両国の金融のシステムがあまりにも異なる(特徴的と言ったらいいのか)ので,少しカセ・スペインの考えを述べさせていただきます。
 私と同年代,あるいはそれ以上の世代にとって,かつて若い頃に,今日のようなゼロ金利時代が到来する事を誰が予想したでしょうか。今,60歳で定年退職をする人たちは,退職金を定期預金にすれば,その金利と年金で十分に生活して行ける・・という計算が誰にでもあったのではないでしょうか。そのはずだったんですよね。もちろん私もそう思って厳しい勤めを頑張ってきましたから。
 ところが現実は,あまりにも違いすぎましたね。
 過日,インターネットで日本の金融機関の大口定期預金金利を調べて見ましたら,全国平均で3年ものが,0.295%(2000年10月4日調べ。Yahoo!Japan Financeによる)なんですね。これではとても預金金利はあてに出来ませんね。それではどうしたら良いのでしょうか。
 これが一般性があるかどうなのかはYahoo!Japanを通じてカセ・スペインのホーム・ページ「マドリッド通信」を購読なさっておられる読者の皆さんの目の高さで読んでいただきたいと思います。
 私のマドリッド補習授業校校長としての給与は,ペセタで支払われますから,その給与分はスペインの銀行口座に振込まれます。一方,私名義の円ファンドは日本の銀行にあるわけですから,為替相場のタイミングを見て「円」を外為送金し,「ペセタ」に換金します。今は円高基調ですから,為替差益が相当期待出来ます。これも、10月6日(金)にインターネットで外為市場を調べてみましたら,スペインの100ペセタが57円前後でもみ合っていました。つまり,仮に今,1,000,000円をスペインに外為送金すると,ペセタ換金では1,666,666Ptsになるわけです。現時点では為替差益が大きいですね(逆に,タイミングを見誤ると差損となる)。さらにこれをスペインの銀行で定期預金にすると,3年もので金利が5.5%の銀行もあるのです。
 それでは,実際にカセ・スペインが言っているようなことが現実の問題として可能(法制上出来るのか)かどうかということですが、やろうと思えば出来るようになったのです。
 外国為替取り引きが自由化され「金融ビッグバン」と言う追い風が吹き始めました。従来は,日本人が持っていた財産は持ち出しにくかったのですが,それが解禁されたのです。
 外国為替取引が自由化されると,個人でも外貨預金が日本にいながらにして出来るようになったのです。 
 日本国内だけではなく,目を広くEU,北米へ向ければ,まだまだ人生の選択肢があります。情報を発信し,グローバルに生きて行くのも頭をリフレッシュさせることになるかも知れませんよ。ビーバ・エスパーニャ!

「金融ビッグバン」について,質問等のある方は,下記へどうぞ。
Eメール kasespain@tocco.es
URL http://www.teddy.to/kasespain/  こちらはQAルームへどうぞ。