マドリッド通信>53号

 オーラ ケ・タール?マドリッドでは,10月に入って,街路樹のマロニエや西洋ポプラが急に色づき始めました。街中の温度計にふと目をやると,朝・晩は5?6度くらいにまで気温が下がっています。黄葉の季節です。
 夕方,ジョッキングの帰りに見るナバセラーダの稜線は,沈む夕陽で真っ赤に燃え,砂上の楼閣的な,現実を離れた幻想を覚えます。科学を超えた自然の美しさに圧倒されます。
 この美しい山並みを見つめながら,祖国を守るためにここで激戦を交え,国際旅団が共和国軍に加わって「自由と正義」のためにファシズムと戦った,「スペインの内戦」に思いを馳せる一時も,私の一日の疲れを癒してくれます。

今,EUが面白
 スペインを代表する大手のスーパーで,一缶42Ptsのドイツ・ビールが売り出されました。42Ptsといえば,日本円に換算して何と25円ですよ。
 日本の缶入りビールはたしか200円くらいだったと思うんですが,こちらスペインでは25円なんですから,考えてしまいますよね。
 EUは,2,002年1月の統一通貨・ユーロの導入をもってより強固な政治・経済統合体となるわけですが,このEU完全統合を目前に,ビールの値下げに見られるような価格競争の動きが加速しているのです。
 少しこのへんのことについて,カセ・スペインの考えを述べさせていただきます。
 EUが統合され,人と物の移動が自由になりました(資本移動の自由化)。スペインからフランス・ドイツ・イタリア等,EU加盟の15カ国間相互の人や物の移動のための物理的な障害物は撤去され,自由に往来が出来るようになったのです。こうなりますと,経済的には物価に市場原理の原則が働き,良い意味での価格競争がおこるのはマーケットの必然性であります。私のマドリッド日本人学校勤務時代からのマーケットリサーチ・メモにもそのことがはっきり現れています。次にいくつか実例をあげます。

郵便局の定期預金金利が4.7%に
 日本では今,ゼロ金利時代となってしまいましたね。時代の変化は厳しく急です。
 退職後は年金と定期預金の金利を期待していた私たちと同世代にとって,まさにこのことは青天の霹靂であります。その上,信じきっていた金融機関が予告もなく,ある日突然倒産したりね。
 私が昨年,再度スペインへやって来た時に,先ず考えた事は,資金の運用をどうするかと言うことでしたね。日本に置いといても,金利が0.275%(Yahoo Japan!Finansu 調べ)ではどうにもなりませんから。
 そこで考えたのが,スペイン・ペセタによる外貨預金です。マーケットを調べて見ましたら,オランダ資本系のA銀行が金利3.1%で当時は一番金利の高い銀行でしたが,すぐに他の銀行も追随して,何と3年もので5.5%の銀行も出現,郵便局までもが4.7%まで上げてきました。
 この外資系によるウィンブルドン現象は,日本の銀行や郵便局でしか資金運用の経験がない私にとって,大変な驚きでした。日本の金融機関は預金金利等は横並びで、EU域内で起こっているこのような金利競争などあり得ないでしょう。一方EUでは,郵便局までこれに加わるんですから,まさに金融ビッグバンの時代の到来なのです。
 ああそう「金融ビッグバンの時代」については52号で触れたのですが,Eメール等での反響が大きかったので,もう少し詳しくお伝えします。
 私の円ファンドは、東京の外為送金を扱っているA銀行にデポジットしてあります。マドリッドで毎日の外為相場を、インターネットで検索し、タイミングを見て外為送金を依頼するわけです。

強い円による「為替差益」
 今,円の為替相場は,対ペセタ・レートで100ペセタが55円前後でもみ合っていますから,相当な為替差益が期待出来ます。
 この「為替差益」,ちょっと興味があるので,手元の資料で詳しく調べて見ました。
 私が昨年4月にマドリッドへやってきたときには,100ペセタが81円でしたから,仮に10万円をペセタにすると,12万4千ペセタになり,これでも何だか得をしたような気分でしたが,2年後の今,同じ10万円をペセタにすると,17万9千ペセタが手元にくるんですよ。それでスペインの物価はどうかと言いますと,ほとんど上がっていないか,EUの統合によってむしろ下がっているものもあるのですから,生活をしている者の立場からすればとても有り難いわけです。
 いや―,時代は変わりましてね,従来は日本人が持っていた資本・財産は持ち出し難かったのですが,それが解禁されたのですから何でもやろうと思えば出来るのです。目をグローバルに外へ向け,情報を収集し,それを自分のものとして生きて行く時代の到来なのです。
 マドリッドで生活していて実に驚くんですが,外為送金の依頼などもね,前は書類を作って印鑑を押し,それを郵送して依頼していたのですが,今はFAXでもEメールでもOKなのですから,手続きが実に簡単・かつ迅速,とにかく速いんですよ。その日のうちに外為送金が依頼出来,3日後には私のスペインの銀行口座に振り込まれるのですから。時代の変化に対応するとは,こう言うことなのでしょうね。
 そうそう,為替相場は逆もあるのですから,これには気をつけないといけませんね。為替差損です。もっともこれは,インターネットで情報をきっちりと収集していればわかることですから,努力をすれば防げます。大丈夫です。

電力料金の値下げ
 我が家の10月分の電力料金請求書を見ましたら,電力消費量が325Kwで料金が4200Pts(約2,520円)となっていました。2年前と比べて23%の電力料金の値下げです。もっともこれは、為替相場の問題もありますから,単純には23%の数字そのものを評価出来ない面もありますが,EU諸国の電力料金を見て下さい,1ヶ月に電力を325Kw消費して,電力料金が約2,520円ですよ。日本ですと,いくら払うことになりますかねー。これもEUの統合による「エネルギー関連産業のビッグ・バン」と考えれば良く理解できます。
 電力産業等のエネルギー基幹産業は,従来国営等の形で地域独占が普通だったのですが,これを実に発電・送電・販売の三つに分割・民営化し,電力事業に市場原理を導入したのです。EUはやることがすごいです。私たちが考えもしなかったことを,平気でやってのけます。でもこれ,時代の大きな流れですよ。EUは動いています。21世紀の世界経済は,私の目には,日・米・EUの三極に収斂される事は自明の理であります。今,EUがとても面白いです。

アンダルシアの白い小さな街

 中学校で長い間社会科を教えていた頃「ピレネーを越えるとそこはアフリカだ」「地中海性気候は冬雨気候」で,夏の乾燥に耐えるオリーブやコルク樫などが良く育つ,と、何回授業しただろうか。ところが,スペインで長い間生活をしていて,まだこのコルク樫の木を見ていないんですね。どうしてもこのコルク樫の木とアンダルシアの白い街が見たくて,マドリッドのアト―チャ駅発のアベに乗りました。
 今回の紀行コースは,コルドバまでスペインの新幹線アベに乗り,コルドバからはレンタカーで山道を走るコースです。
 アト―チャ発9時00分のアベに乗ると,コルドバへは10時46分に到着します。駅構内のレンタカー事務所で手続きをし,車を借りて出発。南へ南へと細い山道を進み,ガイド・ブックに説明されているコルク樫の山並みを目指します。ロンダの街を通過してガウシン村にさしかかるあたりから,道はかなり険しくなってきました。
 ドングリの林が多くなってきたな,と思ったら,林の中にたくさんの黒豚の姿が目に入るではありませんか。「えっ,何と・・あの,爪の黒いハモン・イベリコの黒豚です」話には聞いていたのですが,ドングリの実で育てる黒豚の放し飼いなんだ。
 車はなおも険しく細い山道を進み,葛折りの曲がりくねった坂道を上りつめると,コルク樫の林が広がった。「あった!これがコルクの木なんだ・・ワインの栓などを作るのか―」もう,すごいインパクトです。若い頃,授業の中で何度も取り上げた地中海性気候の植生そのものの光景に、しばし,時が経つのも忘れました。
コルク樫の木。皮を剥いでワインの栓などに使う。

ロンダの北20Kにあるセテニ―ル村の洞窟の住まい。冬は暖かく,夏涼しいと言う。
こちらはミハスの白い街。ロバのタクシーに揺られて街を一周することが出来る。

 スペインの中でも最もスペイン的と言われるアンダルシア。その中でも異様なのがセテニ―ル村だ。この村は,グアダルポルク川の浸食によって出来た断崖の谷間にあり,いつの時代からか自然に人が住みついたのだと言う。

54号へ。

「マドリッド通信」地元紙に掲載される

カセ・スペイン個人が発信する「マドリッド通信」,地元紙に掲載されました。
アルバ・スペイン社 http://www21.big.or.jp/~spainet/
トキメキ・エスパーニャ社 http://es.cyberclick.net/tokimeki/index.html (NO16,17)
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アディオス。