マドリッド通信>54号

 オーラ ケ・タール?
 12月に入って,マドリッドの街はクリスマス・ムード一色です。
 マドリッドの中心街のグランビア通りやプエルタ・デル・ソルの広場には,今年も大きなクリスマス・ツリーに色とりどりのネオンが飾られ,プラサ・マヨ―ルには,大きなベレン(キリストが誕生したベツレヘムの馬屋とヨゼフ,マリア,三人の博士等の模型)が出来上がりました。国民の大部分が敬虔なカソリック教徒であるスペインの人たちは,長い行列を作ってベレンにお祈りを奉げています。
 考えてみれば,イエズス会の宣教師,フランシスコ・ザビエルが日本へキリスト教を伝えたのは1,549年のことですから,日本とスペインとの深いつながりは,もう450年以上にもなるんですよね。

続・今,EUが面白い

 EUが統合され,加盟15ヶ国間の人と物の移動が自由になりました。2,002年1月には通貨も統合され,フラン,マルク,ペセタ等の通貨は統一通貨「ユーロ」となります。21世紀の世界経済は,EU抜きには機能しない時代となることは歴史の必然と考えられますし,この時,グローバルな視点から世界を俯瞰するならば,経済的には日・米・EUの三極へ収斂される事は自明の理であります。
 さて,53号でお伝えしましたように,スペインの大手スーパーに一缶42Pts(25円)
のドイツ・ビールが参入し,ビール業界に価格競争の動きが加速しておりますが,今度は何と,一缶39Ptsのオランダ・ビールが登場しました。

一缶42Pts(25円)のドイツ・ビール。
この後,一缶39Ptsのビールが登場。
価格競争で賑わうスペインの大手スーパー。
右手の大きなフランス・パンが一個35円。

 一缶39Ptsといえば23?4円ですよ。水を買うよりもビールの方が安いんですから,マーケットのビール売り場を眺めながら,笑いが止まらないんですよ。楽しくてね。日本では一体,缶ビールはいくらしていますか。200円ぐらいだったですよね。Ptsにすると345Ptsか・・これではスペインの人たちはビールを飲まないですね。
 ああそう,それでね,少し前にインターネットで日本のニュースを検索していましたら,発泡酒増税のニュースが飛びこんできたんですよ(11月3日付 Yahoo Japan!毎日新聞)。
 マドリッド日本人学校に勤務していた頃,たしか平成6年前後だったと思うのですが,日本へ帰った時にマーケットへ行きましたら,すごく安いビールが売っていましてね,一缶145円くらいだったでしょうか,「えっ・・何だこのビールは」と驚いたことを記憶しているんですね―。あれが発泡酒だったんですが,飲んでみるとビールとほとんど味が変わらないものですから,スペインから日本へ一時帰国した折にはほとんどこの発泡酒を飲んで,高いビールのウサを晴らしていたんです。その発泡酒にまで増税しようとしているのですかねー。どうなんでしょうか。
 私はね,日本とスペインの社会を比べて,このへんのところが本質的に違うのではないかと思っているんですよ。生活必需品・・そう,ビールとかパンとかね,人として生活をして行く上での必要最小限のものにまでこれほど税をかけ,予算規模を拡大するのがいいのか、日常の生活の中では多少不便でもいいから皆で少し我慢して,せめてビール,発泡酒くらいは財布を気にしないで飲めるのが人間的なのか,考えてみる時だと思いますね。
 発泡酒増税構想は,私は,人心の理想と現実の乖離だと思っています。

国境を車で越えると

 EU諸国間を飛行機ではなく,車で移動するとどうなるのでしょうか。先ず,スペインとポルトガルの国境で体験してみました。
 「EU15ヶ国は統合され,人と物の移動は自由になった」と,マドリッド通信で何回も発信しているカセ・スペイン自身が「ポルトガルへ行くのだから、念の為にパスポートを持とう」などと言っているのですから、遠く日本ではEUの統合と言っても、現実の問題とは重ならないですよね。
 さて、スペインとポルトガルの国境ですが、ここでは国境の標識があるだけで車は止まらずにそのまま移動できますから、もうEU域内では外国へ行くという感覚ではなく、国内旅行です。ポルトガルへ入って少し走ったところで給油をしたのですが、スペインのペセタで代金を支払って、ポルトガルのエスクードでおつりをくれるんですよ・・ヨーロッパではもう「国」の概念はなくなり、実態としてボーダレスの社会となったような気がします。
スペイン,ポルトガル国境。手前がスペイン,向こう側がポルトガル。出入国検査等は何もなし。

魅力的なポルトガルの街々

 スペインとポルトガルの国境を越えて、しばらく走っているうちに気がついたのですが、ポルトガルのあちら、こちらの街で買物をしたり、泊まったりしていましてね、それでも財布の中味が急に軽くならないんですよ。

ポルトガルの白い家並。紺碧の空と青い海、
おっとりとした人々の人情は良く似合う。
大西洋に面した美しい港町ナザレ。
「過去を持つ愛情」のワン・シーンを彷彿させる。

 マドリッド通信で、スペインの暮らし易さの条件として、物価の問題を何度も取り上げているのですが、ポルトガルはもっと物価が安くて食べ物が美味しいですね―。ちょっと報告させていただきますが、ナザレとファロの街で、共に港に面した瀟洒なレストランで夕食をとったのですが、生牡蠣15個レモン添え、黒鯛の炭火焼き、海のサラダ、チーズ、パンと赤ワインのフルコースで7、465エスクード(3、430円)とは驚きました。ああ、そうそう、これ妻と2人分ですから。ホテルに泊まってまた驚かされました。ナザレの街では海に面したきれいなホテルに泊まり、宿泊料が16、000エスクード(7、360円)。朝食がついているんですよ。
 カセ・スペインは今「日本の60歳前後の世代が年金でスペインで暮らす」をテ―マにいろいろとその可能性について資料を集めているのですが、物価問題は、その一番の問題ですから。今ね、60歳で定年退職し、日本で静かに人生第三楽章をおくるためには、20万円の年金では優雅にリッチに暮らせないでしょう・・毎日が一杯一杯でね。それが、スペインで暮らすことになり、20万円をスペインへ外為送金したとしますと、344、827Ptsになるんですよ。すごい為替差益です。スペインで月に34.4万Ptsあれば、楽に暮らしてゆけますからね。
 ところがポルトガルをぐるりと回ってわかったのですが、もっと住み易そうな国がありそうです。
 今、EUから目が離せません。

マドリッドの理髪師 ひとりごと

 マドリッドの理髪師、こと床屋のおやじさんについて、マドリッド通信で発信しましたところ、Eメール、QAルームで多数の皆さんからご返事をいただきました。その大部分が、床屋のおやじさんの悠揚迫らぬ「泰然自若」とした生き方についての、肯定的な意見でしたので、もう少し床屋のおやじさんのことについてお話し致します。
 私が床屋のおやじさんのところへ行く時間は、たいてい夕方です。この時間には、おやじさんシェスタあけですから、いつもビノを飲んで酔っ払っているんです。私が椅子に座りますと「いつものでいいのかね」とおやじさんが聞き「そう・・いつもの、だけど少しだよ」と私が答えます。そうしますと、すぱすぱのカミソリで、石鹸も水もつけずにおやじさん、襟足をぞりぞり剃るんですね。あれって、水つけないで剃ると痛いんですよ。おやじさん、そんなことに全く構わず、一杯機嫌で「寒くなったなー。ところで日本にも冬はあるのかね」と聞き「日本は中国のどのあたりにあるんだ」と、何回説明しても同じことを聞くんですよ。
 世界の経済大国日本も、床屋のおやじさんにあっては、もう形無しです。
 それでもおやじさんがいつも言っている「人生うたたかの夢さ、今楽しまなくて、一体いつ楽しむんだね」の含蓄のある言葉に「そうだよな」と、思うのです。
 家族を愛し、人生を楽しみ、旺盛な好奇心と行動力でいろいろな事にチャレンジするおやじさんの生き方って・・いいよな―。

マドリッド補習授業校の終業式

 12月17日(日)、マドリッド補習授業校の終業式が行われます。
 2学期の終業式は、一部・二部に分け、一部では日本の小・中学校と同じ儀式としての終業式を、そして二部では全校の児童・生徒参加のカルタ取り大会と子供たちの有志によるバイオリン、ピアノ、ギター等の演奏会です。さあ、どんな終業式になりますか、とても楽しみです。保護者の参加も広く呼びかけています。

マドリッド通信 Eメール kasespain@tocco.es
マドリッド通信 URL http://www.teddy.to/kasespain/

アディオス。