▼統合のバックボーンとなったもの▼
ヨーロッパで生活をしてみましてね、日本では見えなかった大きな三つのものが見えてきました。そして、この三つこそが、私はEUの統合を支えた民族的なエネルギーであると考えるに至りました。
その一つは、ヨーロッパを舞台にして繰り返された戦争の惨禍と国民の永久平和への願いであります。実際、ヨーロッパの過去の歴史は、民族の対立・侵略、戦争の繰り返しでありました。このことは、四方海で囲まれた日本で生活をしている私たちと、ヨーロッパの人々との「平和と安全」に対する認識が基本的に異なる部分なのです。
ヨーロッパでの生活は、隣の国は海外ではないのです。隣の国と陸続きであるということは、国と国との移動に物理的な障害物がないわけですから、常に隣の国、そのまた隣の国との関係において緊張感の連続であったわけです。ヨーロッパでは、かつて「水と平和・安全」のコストは、とても高かったのです。

スペインの国道6号線。
この道をまっすぐ進めばポルトガルへ、東へ進めばフランス、
そしてドイツのアウトバーンへと検問なしでつながっている。
写真は、マドリッド日本人学校付近。
二つ目が「キリスト教」と言う宗教をよりどころにした「共通の文化基盤」を持ち続けているという事です。カトリックでもプロテスタントでも、そして正教会でも「神に祈る」「誰も見ていなくとも、神のみは見ている」と言う神に対する畏敬の念が、ヨーロッパの人たちの連帯感を作り上げているような気がします。
私は、EUの完全統合実現によって、当分の間、ヨーロッパを舞台にした戦争は起こらないのではないかと考えています。統一通貨「ユーロ」が流通する事になれば、自国の通貨での戦費調達は不可能なわけですから、統一通貨ユーロの市場流通それ自体が、戦争抑止力となり得るのです。
そして最後、三つ目が経済の活性化と言う視点です。20世紀の世界経済は、競争力のあるアメリカ、日本がリードしてきました。米・日のこの強力な二大経済圏に対抗するためには、最早「統合による経済規模の拡大しか選択肢がない」と言う認識において、EU統合へのコンセンサスが得られたのではないでしょうか。「21世紀の世界経済は、米・日・EUの三極に収斂される」と言うのが、私の持論です。EUの統合によって、名目GDP8兆5千億ドル、世界貿易に占める割合が18.0%と言う巨大市場が出現したからです。(2000年11月8日付、Yahoo Japan EUの経済より)
また、統合による経済活性化の波及効果は「マドリッド通信」でも再三お伝えしておりますように、需要と供給の関係による市場価格の原理が働き、マーケットでの値下げ競争が加速しており、また電気、ガス、水道、郵便料金等の基幹産業料金の値下げなど、スペインでも活力ある市場が出現しつつあります。
▼冬でもトマト1個が15円のわけ▼
マドリッド日本人学校へ赴任した平成6年当時、とても不思議に思ったことがあります。スーパー・マーケットへ買い物に行きましてね、私の好物であるトマトやメロンを買いますと、その値段が夏と冬で余り変わらないんですよ。日本ですと、特にトマトなど冬にはどのくらいしているのですか。メロンなどは冬食べるものではないですよね。それがスペインでは日常的に冬でもトマトが1個15円くらいで買えるのですから、嬉しくなってしまいます。
その理由がわかりましたよ。大西洋上に浮かぶスペイン領土のカナリア島で、大規模に栽培しているのですね。この島は、私が2月に訪れた時の気温が25〜30度ですから、水さえ確保できれば、美味しいトマトやメロンが出来るわけですよ。
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スペインの冬のメルカド(市場)
オレンジ、トマト、イチゴ等、どれも新鮮で安く、
夏と余り値段が変わらない。 |
カセ・スペインおすすめ、一食100円の献立。
ビール、じゃがいものバター添え、トマト、フランス・パン。
おまけのワイン。 |