マドリッド通信>57号

 オーラ ケ・タール?
 マドリッドの街角に、半袖姿のセニョール、セニョリータの姿が多く見られるようになりました。ナバセラーダの山並みも、頂に残った雪景色が春霞みにつつまれ、夜の帳がおりる頃には、漆黒に閉ざされた山麓の家並みに明かりが灯り、ゆらゆらと揺れる光景を見つめながら、スペインの内戦で多くの命が失われ、今は巨大な十字架だけが静かに残る「バジェ・デロスカイドス」や、ブルネテの激戦地に思いを馳せています。

EU統合の歴史的必然性

 2、002年1月、EUは統一通貨「ユーロ」の市場流通をもって完全統合を成し遂げます。フランス、ドイツ、イタリア、スペイン等、ヨーロッパの15ヶ国が、それぞれの主権の一部を委譲して、一つの強固な統合体となるのです。
 私は、1963年に妻沼東中学校の社会科の先生となり11年間、妻沼西中学校で10年間歴史と地理を教えてきましたが、当時ヨーロッパの国々が一つの統合体になるなど思ってもみませんでしたし、授業の中でもEEC・ヨーロッパ経済共同体やECSC・ヨーロッパ石炭鉄鋼共同体の話はかなりしましたが、歴史的な目でフランスやドイツなどの国々を見つめる時、これらの古い歴史と伝統を誇る国々が、戦争以外の形で、自国の主権の一部を委譲するなど、私には全く考えられませんでしたね。
 しかし時代は移り、2、002年1月からは、フランス人がこよなく愛する「フラン」も、ドイツ人が世界一安定した通貨と誇る「マルク」もなくなり、「ユーロ」ただ一つになるのです。世界の大多数の人々が興味と関心を示して見つめ、且つ多数の人たちがその過程で疑問を投げかけた・・と思われるEUの統合ですが、幾多の障害を乗り越えてそれは完結しようとしています。

統合のバックボーンとなったもの

 ヨーロッパで生活をしてみましてね、日本では見えなかった大きな三つのものが見えてきました。そして、この三つこそが、私はEUの統合を支えた民族的なエネルギーであると考えるに至りました。
 その一つは、ヨーロッパを舞台にして繰り返された戦争の惨禍と国民の永久平和への願いであります。実際、ヨーロッパの過去の歴史は、民族の対立・侵略、戦争の繰り返しでありました。このことは、四方海で囲まれた日本で生活をしている私たちと、ヨーロッパの人々との「平和と安全」に対する認識が基本的に異なる部分なのです。
 ヨーロッパでの生活は、隣の国は海外ではないのです。隣の国と陸続きであるということは、国と国との移動に物理的な障害物がないわけですから、常に隣の国、そのまた隣の国との関係において緊張感の連続であったわけです。ヨーロッパでは、かつて「水と平和・安全」のコストは、とても高かったのです。


スペインの国道6号線。
この道をまっすぐ進めばポルトガルへ、東へ進めばフランス、
そしてドイツのアウトバーンへと検問なしでつながっている。
写真は、マドリッド日本人学校付近。

 二つ目が「キリスト教」と言う宗教をよりどころにした「共通の文化基盤」を持ち続けているという事です。カトリックでもプロテスタントでも、そして正教会でも「神に祈る」「誰も見ていなくとも、神のみは見ている」と言う神に対する畏敬の念が、ヨーロッパの人たちの連帯感を作り上げているような気がします。
 私は、EUの完全統合実現によって、当分の間、ヨーロッパを舞台にした戦争は起こらないのではないかと考えています。統一通貨「ユーロ」が流通する事になれば、自国の通貨での戦費調達は不可能なわけですから、統一通貨ユーロの市場流通それ自体が、戦争抑止力となり得るのです。
 そして最後、三つ目が経済の活性化と言う視点です。20世紀の世界経済は、競争力のあるアメリカ、日本がリードしてきました。米・日のこの強力な二大経済圏に対抗するためには、最早「統合による経済規模の拡大しか選択肢がない」と言う認識において、EU統合へのコンセンサスが得られたのではないでしょうか。「21世紀の世界経済は、米・日・EUの三極に収斂される」と言うのが、私の持論です。EUの統合によって、名目GDP8兆5千億ドル、世界貿易に占める割合が18.0%と言う巨大市場が出現したからです。(2000年11月8日付、Yahoo Japan EUの経済より)
 また、統合による経済活性化の波及効果は「マドリッド通信」でも再三お伝えしておりますように、需要と供給の関係による市場価格の原理が働き、マーケットでの値下げ競争が加速しており、また電気、ガス、水道、郵便料金等の基幹産業料金の値下げなど、スペインでも活力ある市場が出現しつつあります。

冬でもトマト1個が15円のわけ

 マドリッド日本人学校へ赴任した平成6年当時、とても不思議に思ったことがあります。スーパー・マーケットへ買い物に行きましてね、私の好物であるトマトやメロンを買いますと、その値段が夏と冬で余り変わらないんですよ。日本ですと、特にトマトなど冬にはどのくらいしているのですか。メロンなどは冬食べるものではないですよね。それがスペインでは日常的に冬でもトマトが1個15円くらいで買えるのですから、嬉しくなってしまいます。
 その理由がわかりましたよ。大西洋上に浮かぶスペイン領土のカナリア島で、大規模に栽培しているのですね。この島は、私が2月に訪れた時の気温が25〜30度ですから、水さえ確保できれば、美味しいトマトやメロンが出来るわけですよ。

スペインの冬のメルカド(市場)
オレンジ、トマト、イチゴ等、どれも新鮮で安く、
夏と余り値段が変わらない。
カセ・スペインおすすめ、一食100円の献立。
ビール、じゃがいものバター添え、トマト、フランス・パン。
おまけのワイン。

一食100円の献立
 スペインで失業し、収入の道が途絶えても大丈夫、ご安心下さい。カセ・スペインが考えた一食100円の献立です。ビール一缶30円。フランス・パン一本30円、じゃがいものバター添え2個で20円、トマト1個10円、バター10円。合計100円。おまけは、コップ一杯のワインです。どうですか、栄養のバランスもいいですよ。

男沼小学校6年生児童と交換授業

 小・中学校の教育課程に位置付けられた「国際理解教育」や「情報教育」では、どのような取り組みが出来るか。また、両者がジョイントした教育では何が出来るのか。
 平成14年度から、全学年で実施される新しい学習指導要領に示された「総合的な学習の時間」の具体的な学習活動を模索し、試行錯誤を繰り返している日々かと思います。
〜6年生全児童とEメールの交換〜
 ここでは、平成12年度に実践した埼玉県大里郡妻沼町立男沼小学校6年生との、Eメールの交換による授業の模様をお伝えします。
〜ねらい〜
●スペインの歴史、文化、生活習慣、伝統等を知り、理解させる。
● 児童がPCを通じてEメールを発信し、主体的に情報を収集・選択・活用させる。

〜男沼小学校6年生の皆さんへ マドリッド補習授業校の加瀬です〜

 T君、Y君、K君、スペインへ返事をありがとう。元気にお勉強をしていますね。嬉しく思います。マドリッド補習授業校の子ども達も、元気にやっていますよ。
 さて、今日はローマ水道橋の写真を送ります。とても大きな橋ですね。このローマ水道橋は、マドリッドの街から北へ100Kのところにあるセゴビアの街にあります。今から約2、000年前、古代ローマの時代に作られたのですよ。
 このローマ水道橋は、何のために、どうやって作ったのでしょうか。橋の高さはどのくらいあるのでしょうか、長さはどうでしょうか?是非考えてみてください。
 もちろん2、000年も前ですから、石を運ぶトラックや積み上げるクレーン、接着のためのセメント等何もなかった時代ですよね―。皆で考えてみてください。そして出来たら、その様子をマドリッドの校長先生の所へEメールで知らせてもらえると、とってもうれしいです。
 この授業で求められるものは、先ず指導者がPCを使いこなせること。子供たちがEメールを発信出来ること。Yahoo Japan!から入って「マドリッド通信」を検索し、自分の興味と関心のある情報を収集し、活用出来ること。ワード文書の中にデジタル・カメラかスキャナーで写真を取り込めること等が考えられます。男沼小学校の6年生全員と担任の定方先生から、それぞれの考えでEメールが届き、全員にEメールで返事を書きました。

アディオス

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