オーラ ケ・タール?
 12月に入り、マドリッドの街はクリスマス・ムード一色です。グランビア通りから旧市街のプエルタ・デル・ソル、スペイン一番のデパート「エル・コルテ・イングレス」は今年も赤や黄色の華やかなネオン・サインのイルミネーションで飾られ、べレン(キリストが生まれたベツレヘムの馬小屋飾り)が、見事に演出されています。
 国民の大部分が、敬虔なカソリック教徒であるこの国の人たちの神に対する絶対的な宗教観は、仏と神が違和感なく共存する異質の世界で育った私たちとは、基本的に異なるものがあることを実感として膚で感じています。


マドリッドの中心街、プエルタ・デル・ソル付近のクリスマスのネオンと
「コルテ・イングレス」のべレンの飾り付け。

 「ユーロ」流通前夜

 2002年1月1日から、フランス、ドイツ、スペインなどEU諸国では、現通貨の「フランス・フラン」「ドイツ・マルク」「スペイン・ペセタ」等に替わって、統一通貨「ユーロ」が流通します。
 EU加盟国内での人、もの・サービス、資本等が自由に移動できることを目的とした「市場統合」は、統一通貨「ユーロ」の流通により、完結しようとしています。
 私は、日本の中学校で長く歴史を教え、EEC(欧州経済共同体)、ECSC(欧州石炭鉄鋼共同体)について何度も授業で取りあげてきましたし、今またスペインの大学で、スペインと日本の文化を論じておりますが、かつて主権国家が、戦争以外の方法で「自国の主権の一部を委譲する」ことなど、考えてもみませんでした。
 EUの統合を、21世紀の国際社会を生き抜くための、国家としての「壮大な実験」と位置付けてみても、ヨーロッパと言う国々は、私たちが考えてもみなかったような「とてつもないこと」をやってくれます。
 マドリッド通信では、前号に続いて、この悠久ひさしい歴史的な統合前夜のスペインと、私たちの日常生活の変化をお伝えします。   

 ペセタからユーロへの切替え
 キーワード・ユーロ

 先ず第一に疑問に思うことは、私たちが今使っているスペイン・ペセタからユーロへの切替えはどうなるのか、本当にシナリオどおりスムーズに事が運ぶのか・・と言うこと、更に自動販売機等を含めた買い物などが一体どのように変化するのかと言うことです。
 私の財布の中には、今はペセタだけしか入っていませんし、ファンドはスペインの銀行にはペセタで、日本の銀行には円だけでデポジットしてありますので、これとの関係も気になるところですが、まだマーケットにはユーロは出回っていません。デパート、商店の価格表示はユーロとペセタ表示ですが、現金での支払いはペセタです。
 しかし、カードで支払う場合はユーロ払いとなり、銀行口座からはユーロで引き落とされています。
 過日、銀行の普通預金口座の預金残高がユーロに変更になり、私の預金口座の金額が急に少なくなってしまいましてね、大あわてで銀行へ駆けつけたんですよ。何しろ1ユーロは166.386ペセタですから、残高のゼロの数が二つも少なくなってしまったんです。
 よくよく窓口で話を聞いてみましたら、こちらの情報不足で、平成13年9月15日より、普通預金口座の残高はユーロ表示に切り替わっていたということがわかり、大笑いしたんですが、在外の地で生活をしておりますとね、バタバタすることが多いですよ。
 それで、ペセタからユーロへの切り替えのシナリオですが、2001年12月15日から上限2000ペセタに限り、スターターキットのコイン交換が始まります。
 
2002年1月1日、いよいよユーロ流通開始です。長年慣れ親しんできたペセタからユーロへの切り替えです。この日から当分の間は、買い物をするにも価格表示に私たちの頭の切り替えがついていかないかもしれませんね。何しろ、今まで一本950ペセタで買っていたクリアンサのワインが、5.71ユーロになるんです。ビールは一缶40ペセタだから0.24ユーロか・・私の給料は一体何ユーロになるのだろう。
 
それでは1月1日以降、ペセタはどうなるのかと言いますと、2月28日まではペセタとユーロの併用期間となります。ただし、お釣りは全てユーロです。2002年3月1日からは、ペセタが使えなくなり、全てユーロとなります。もちろんATMも完全ユーロ化です。
 
さて、EUの統合により人口3億7千5百万人、名目GDPが8.5兆ユーロ、一人あたりGDPが2万ユーロ、世界シェア29.5%と言う、巨大な単一市場が出現します。(2000年11月8日付 Yahoo Japan! EUの経済)
 21世紀の世界経済は、日本経済が「官僚指導型協調体制」から真の「自由経済体制」に脱皮できれば、と言う条件付ですが、米・日・EUの三極に収斂されると言うシナリオが、ヨーロッパから世界経済を見つめている私の持論です。ヨーロッパは大きな変化の時を迎えております。

 美味しいワインが出来ました

 9月にサン・ビセンテ村のSr.カルロス家で仕込んだ、待望のビノ・ティント(赤ワイン)のヌエヴォが出来上がり、12月6日にスペインの友人と賑やかに蔵出しを終えました。
 「壷の中で発酵の音が聞こえるよ」「ソンブレロ(帽子)をかぶったよ」と、Sr.カルロスから何度も話があり、蔵出しの日をとても楽しみにしていました。
 サン・ビセンテ村には、蔵出しの日は「満月から次の新月に至る下弦の月の日」を選ぶと言う古くからの言い伝えがあり、カルロス家でもこの言い伝えを守り、この日の蔵出しとなりました。

カルロス家のビノ・ティント(赤ワイン)今年のビノは、コクと味わいのある調和のとれた仕上がりとなった。 発酵後のソンブレロ(帽子)を取り出し、圧搾酒をつくる。この後時間をかけて蒸留し、日本の焼酎に似たオルホとなる。

 白ワイン、赤ワイン

 ビノのつくり方には大きく分けて二つの方法があります。ぶどうの果皮を取り除いてそのまま発酵させると、白ワインに、ぶどうの果皮を果汁と一緒に発酵させ、果皮の色素を果汁に吸収させると、赤ワインとなるのです。
 サン・ビセンテ村のぶどうは、糖度が高く、そのまま食べても「巨峰」のような味わいで、とても美味しいのですが、ワイン造りには、実はこのぶどうの糖度が影響しているのだと言うことを、サン・ビセンテ村で知りました。 「ぶどうを搾ってワインを造る」と言うことは前から話としては知っていましたが、それでは「ぶどうを潰し、搾るとなぜワインが出来るのか」と言う理由がわからずに、それでも興味と関心だけは残ったままだったのですねー。

 酵母と酵素が発酵の主役

 ぶどう果汁の発酵は、真菌類と言う酵母と酵素がつかさどるのだそうで、この真菌類は、もともとぶどう畑の土壌に存在し、風に運ばれてぶどうの皮に付着するのだそうですよ。
 
ぶどうの皮には、ほこりっぽい灰色がかった白く薄い膜のようなものが付着していますよね、あれが真菌類で、ぶどうの果汁をアルコールに発酵させる主役を演ずるのです。
 
そうか・・あのビノの香りと色、適度なアルコール分は、風が運んでくる酵母や酵素によって発酵し、熟成するのか。ぶどうを軽く圧搾した一番搾りの果汁をラグリマ(ぶどうの涙)と呼んだり、何だかワイン造りって、すごいロマンを感ずるなー。
 ああそれで、ぶどうの糖分ですが、果汁に含まれている糖分が発酵によってアルコールと二酸化炭素に変化するのだそうで、サン・ビセンテ村のぶどうは糖分が多いから、コクのある、良質のワインが出来上がるのだ・・と、Sr. カルロスが説明してくれました。

 マジョルカ島紀行


地中海に浮かぶバレアレス諸島最大の島、マジョルカ島。

 観光と光り輝く黒真珠、年間300日を超す晴天に恵まれたマジョルカ島には、太陽と碧い空を求めて、北欧からの観光客が圧倒的に多い。
 週末ディスカウント運賃制度(EUでは、週末の土曜日を現地で過すと、運賃等大幅な割引となる制度がある)を使って、今回はレンタ・カーでマジョルカ島を一周してみました。
 飛行機、ホテル、レンタ・カー等の週末ディスカウント料金は以下のとおり。
 飛行機代・マドリッド ー マジョルカ、ノーマル運賃46920Ptsが13144Pts(約9200円)、ホテル・四つ星、朝食付9603Pts(6722円)、レンタカー4987Pts(3490円)でした。週末の土・日にかけてEU域内を旅行すると、大幅な割引となるところが日本と違いますね。日本ですと週末は高くなるでしょう。どうしてEUでは安くなり、日本では高くなるのでしょうか・・。

アディオス