ヨーロッパは一つ
2002年1月1日、ヨーロッパの12カ国(イギリス、スウェーデン、デンマークは通貨統合のみ不参加)は統一通貨「ユーロ」の導入を以て「EU(欧州連合)」の統合を完結しました。
過去の歴史の舞台で、それぞれが主役を演じたフランス、ドイツ、イタリア、スペイン等の国々が、国家、国境と言う超え難いバリヤーを取り払って、「EU」と言う連合国家をつくり上げたのです。何と言う壮大なロマンと歴史の現実なのでしょう。
国家を考える時、私たちの既成概念では、それは領土・人民・統治権の三つの要素からなる社会集団、つまり単一国家をイメージすると思います。この国家の主権を一部でも他国に委譲する場合、私の歴史観では、戦争以外の平和的な方法での委譲など考えてもみませんでしたし、事実過去の世界の歴史でも、平和的な方法で自国の主権の一部を他国に委譲した国の例など私は知りません。
私たちが考えてもみなかった事を、ヨーロッパの国々は、見事にやってのけたのですから、そのインパクトの強さは、21世紀と言う時代はどういう時代になるのかを、私たちに改めて考えさせるに十分な出来事でした。
「変わる」ものと「変わらない」もの
「EU(欧州連合)」はヨーロッパの国々の連合体ですが、それぞれの国の歴史や風俗・習慣・伝統は異なりますので、統合の過程での国家間の対立点は多々あったのですが、これを乗り超えて統合にまで至る、そのバック・ボーンとなったもの、共通項は、やはり「宗教(キリスト教)」の伝統を共有していたことに帰結すると思えます。今、「人、もの・サービス、資本・カネの移動」が自由になった「EU」のこれからの進む方向は、変わらぬもの「不易」の部分と、変わるもの「流行」の部分があるように思えます。「不易」の部分とは、もちろん「EU」の基本理念である、次の1〜3です。
1 戦争のない社会と永久平和の実現
2 個人の選択の自由と議会制民主主義
3 基本的人権の尊重であると思えます。
「流行」の部分は、世界的な規模で急速に進展しているグローバル化への対応です。企業活動、資本市場などは、20世紀の世界では考えられなかったような規模で競争が激化し、再編を迫られるような大きな時代の変化への対応です。
さらにもう一つ、情報通信技術革新へのフレキシブルな対応も求められます。
IT社会は、私たちが考えてもみなかったような、いろいろなことがまだまだ実現される可能性を持った社会になるはずです。
これらの「流行」の部分へ対応すべく、スペインでは義務教育年齢の延長などの教育改革が行われましたが、さらなる教育改革論が今、沸騰しております。
「答えが一つだけではない教育」への対応
20世紀は、ものを大量に作ってそれを売る「大量生産・販売・消費」の時代でした。
ところが、21世紀の世界はそれだけの時代ではないような気がします。IT社会もまだまだ留まるところを知らず、さらに深化・統合が進むはずです。
インターネットで情報を収集し、その情報を取捨選択して自分の情報を加味し、それを発信する社会になっていると思います。インターネットの情報は、Yahoo!Japan等を除いては、その80%以上が英語です。ここでは、英語の情報を収集し、英語で考える情報が求められます。
このような時代に求められる教育は、「答えが一つだけではない教育」なのではないかと、私は考えています。
発信する情報を自分で考え、その情報の普遍性・価値を競う時代ですから、従来の「答えが一つだけの教育」では遅れをとると考えるようになりました。
私は、昭和39年に日本の中学校の社会科教師となり、教科指導、進路指導に邁進してきましたが、この間に私たちが実践した教育は、一人の教師の英邁なるリーダーシップによって、40人以上の生徒が「授業を静かによく聞く」ことを前提に成り立ってきました。そして、そこでは「答えは一つ」、これが唯一絶対的なものであり、正しいものだと思って疑いませんでした。
本当にそうだったのでしょうか。
もちろん当時は、時代と社会がそのような教育を求めていたことを否定するものではありません。
しかし私は、平成6年に日本の中学校から、文部省の派遣でマドリッド日本人学校へ赴任して以来、私の取り組んでいる教育は「答えが一つだけではない教育」なのではないかと思うようになりました。
さらに平成11年からマドリッド補習授業校で、平成13年からマドリッド・フェリペU世大学で教鞭をとりながら、この思いは一層強くなりました。
自作の教科書、ハード・ソフト共にIT関連の教材・教具を使い、学習指導要領に拘束されない授業。「日本語」と言う共通の言語を持たない世界での手段としてのコミュケーションの限界を感じながらの授業は、まさに「答えが一つだけではない教育」であります。
豊かな個性と強烈な独創性、課題を自分のものとして、それをクリエートすることが出来るフレキシブルな発想と行動力を併せ持った人材を育成する教育こそが、今の時代に求められる教育であると、私は考えています。

「答えが一つだけではない教育」を模索するマドリッド
補習授業校
サマー・タイム
スペインでは、3月30日(土)から3月31日(日)にかけてサマー・タイム(夏時間)となりました。スペイン国中の時計の針を1時間進めてしまうんですね。
私の生活しているマドリッドなどは、ロンドンのグリニッジ標準時よりも約5度西にありながら、ヨーロッパの国々と時間を合わせているために、この時期の日没は午後8時過ぎなんですね。何しろ、私が学校から帰ってジョギングする時間でも、まだ太陽はナバセラーダの稜線にかかって沈まないのですから。それで、この時間を9時にしてしまおうと言うわけです。
スペインの人たちは、もともと宵っ張りの朝寝坊ですから「スペインの皆さん、昼間の時間帯を有効に活用しましょう」と言う政府の呼びかけには皆大賛成なんです。
私の家の近所の「パルケ デ パリス(パリ公園)」などは、午後9時を過ぎているというのに散歩をする家族連れで一杯ですし、となりのサッカー場では、勤めから帰ったおじさんたちが、サッカーの試合をやっているんですから。そして、パリ公園の中のバルでは、散歩帰りのおじさん、おばさんたちがビールやビノを、ハモン・セラーノ、オリーブをつまみに美味しそうに飲んでいるんですねー。
何と人生を楽しむことが上手な人たちなのでしょう。
ああ、それでふと思い出したんですが、日本でもサマー・タイムを制度として導入したことがあったんですよね。あれは、たしか私が小学校へ入学する前だったと思うのですが、でも、すぐ元へ戻ってしまいましたね。
メヌー・デル・ディア
在外の地で生活をしていて、一番気を使うのは健康の問題ですね。
スペインでは、日本の「総合検診」のような制度がありませんから、自分の健康はセルフ・コントロールをするしか方法はないわけです。
バランスの良い食事と適度な運動、そして、実はこれが一番重要だと私は思っているのですが、仕事を離れた時の「気分転換(ストレスを持ち込まないこと)」です。
スペインの人たちは、食事時間をとても大切にしています。昼の食事などは、シェスタを含めて2時から4時半くらいまでたっぷり時間をとりますね。
スペインの昼食で私が気に入っているのは「メヌー デル ディア(日替わりランチ)」です。前菜、セグンド・プラト、ビールまたはビノ、コーヒーのフル・コースで8ユーロ(920円前後)で、しかも栄養満点です。
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「メヌー デル ディア」ミックス・サラダ、
鳥の鉄板焼き野菜添え、ビール、パン
エスプレッソ・コーヒ−で
しめて8ユーロ(約920円) |
健康のもと、ビナグレ。
オリーブ・オイルとヘレスを発酵させた酢。 |
スペインのドレッシングは、ほとんどビナグレ(写真右)一種類だけです。ヘレス地方でとれる良質のシェリー酒を熟成・発酵させてつくった酢とオリーブ・オイルの一番絞りを新鮮な野菜サラダにたっぷりとかけていただくのです。もう、見るからに健康そうで、元気が出るから不思議です。
アディオス。