マドリッド通信−70


 
フェリペU世大学・翻訳学部
  PROFESOR    加瀬  忠

 
オーラ ケ・タール?
  厳しい暑さの毎日ですが、お元気ですか。
 40度を超えるラ・マンチャの夏の暑さも相当なものですが、高温多湿な日本の夏の蒸し暑さは、スペインには無い別の世界のような感じがします。
 さて平成6年4月、文部省の派遣でマドリッド日本人学校へ赴任し「マドリッド通信」第1号を発刊して以来、毎月1回の割合で更新してまいりましたが、ここに第70号を発刊する運びとなりました。この間、ヤフー・ジャパンの協力で「マドリッド通信」が、世界各国に発信され、多くの読者の皆様にスペイン情報をお届けすることが出来、大変嬉しく思っております。
 平成12年8月発刊の「マドリッド通信」50号で、QA特集を組みましたが、その後、多数の皆さんから寄せられましたQAルームへの質問事項を再度整理し、70号をQA特集としました。

 スペインって、どんなところですか?

 スペインって、どんな国ですか?
 太陽と情熱の国と呼ばれ、「オーラ・アミーゴ」のラテン人気質は陽気で親切です。また、闘牛やフラメンコ等でもわかるように、多彩な歴史と文化を持った国です。
 スペインの国土面積はどのくらいですか、また人口は?
 約51万平方qですから、日本の約1.4倍くらいの広さです。人口は約3、900万人です。
 スペインはどんな気候ですか、また四季はあるのですか?
 日本ではなぜかスペインのことを「南の国スペイン」と思っている人が多いようですね。中学校時代の歴史の時間に「南蛮貿易」とか「南蛮人」と学習しましたから。  しかし、実際はスペインの緯度は日本よりも北なのですが、イベリア半島の気候は厳しく、メセータ大地の内陸部に位置するマドリッドの夏は、気温も40度前後の日が続きます。 また、北半球に位置しますから、日本と同じように「春・夏・秋・冬」の四季がありますが、春と秋はつかの間で、夏と冬が長い四季といった感じです。
 スペインと日本の時差は?
 8時間ですが、夏のサマー・タイム時は7時間となりますので、マドリッドの正午(12時)が、東京の午後8時(7時)となります。
 言葉はスペイン語だけですか?
 公用語はスペイン語ですが、EU統合後は英語を話すスペイン人がかなり多くなりました。特に若い人たちは、流暢な英語を話しますよ。
 ユーロと円の「為替相場」の関係はどうなっているのですか?
 2002年1月1日から、EU域内参加国の通貨は「ユーロ」に統一されました。「ユーロ」と「円」は、変動相場制で、1ユーロが約117〜8円(ヤフー・ジャパン、ファイナンス、平成14年8月2日調べ)前後でもみ合っています。

 在外の地で生活していると

 在外の地で生活をしていて、一番心配なことは何ですか?
 日本へ一時帰国し、昔の教員仲間や教え子たちに会うと、よく聞かれる問題です。 まあ、在外の地で生活をしていると、心配なことばかりですが、私の場合は、先ず、言葉や文化の違いによる「心身の適応」の問題があります。次に職場での組織の問題等ですが、やはり何と言っても健康の問題でしょうかね。軽い頭痛や腹痛等の時にはどうと言うことはないのですが、手術を要するような重病の時は、日本へ帰るでしょうね。
 普段の食事はどのようにされているのですか。やはり日本料理が恋しくなりますか?
 いやー、全くその通りです。日本で生活している時には気付かなかったのですが、スペインで長く生活していて、日本の「醤油味」にたまらないノスタルジアを感じていることに気付きました。
 日本食が恋しくなった時は、マドリッド市内の日本食材店で「米」や「醤油」を購入しますが、値段は日本の3倍くらいでしょうか。

 異文化を理解すること

 スペインで長く生活されていると、日本文化との違いを感ずることが多いと思いますが「異文化の間」で、それを理解することが出来ますか。 また、急速に進展する国際化の時代における教育をどのようにお考えですか?
 うーん、私は平成6年に文部省の派遣でスペインの日本人学校へ赴任しました。そして、このことは私のライフ・ワークとして取り組んでいる問題なのですが、先ず「異文化理解」に対する私の考えを述べます。
 
異文化を学び・知り、それを頭で理解すること、ここまではカルチュラル・ショックの差をそれぞれが感じながらも、個人差に応じて、多くの人があまり抵抗感もなく受け入れられる「異文化の間」の範疇かと思います。それでは、もう一歩踏み込んで、「それを受入れ、共存出来るか」・・今、私が思い悩んでいる命題であります。私が出来ていないからなのであります。
 
「異文化を理解すること」と「異文化を認め・異文化の間で共存すること」とは違います。この違いをはっきりと認識した上での「国際理解教育」でなければ、何の意味も、発展性もないですから、ここは指導者自身の国際感覚が問われていると思います。
 
次に、国際化時代の教育をどう考えるかの問題ですが、20世紀はものを作ってそれを売る時代でした。自国の資本と技術、そして自国の労働力で付加価値の高い製品を大量生産し、販売していました。1、980〜90年代は、より大きく、早く、重厚長大こそが価値ある時代だったのですね。
 ところが、21世紀の世界はそれだけの時代ではないような気がします。
 
インターネットで情報を収集し、その情報を取捨選択して自分の情報を加味し、発信する社会になっていると思うのです。インターターネットの情報は、ヤフー・ジャパン等を除いては、その95%以上が英語です。ここでは、英語の情報を収集し、英語で考える情報が求められるのです。 このような時代に求められる教育は、「答えのない教育」も模索しなければなりません。発信する情報を自分で考え、その情報の普遍性・価値を競う時代ですから、従来の「答えのある教育」だけでは遅れをとります。
 豊かな個性と強烈な独創性、課題を自分のものとして、それをクリエートすることが出来るフレキシブルな発想と行動力を併せ持った人材を育成する教育こそが21世紀のIT(情報技術)時代に求められる教育であると、私は考えています。

 日本人学校と補習授業校はどこが違うのですか?

 在外の教育施設では、日本人学校と補習授業校がありますが、どこが違うのでしょうか。
 私・加瀬 忠は平成6年からマドリッド日本人学校の、そして平成11年からはマドリッド補習授業校の校長として勤務しました。

  

マドリッド日本人学校・同補習授業校       日本人学校・補習授業校のホール

 スペイン・マドリッドの場合は、日本人学校も補習授業校も、エル・プランティオにある同一の校舎で授業をしております。(写真)
 日本人学校は、文部省の学習指導要領に準拠した教育課程を編成し、文部省派遣の教師が中心となって教育活動を展開しております。まあ、わかりやすく言いますと、日本の小・中学校と同じような教育が在外の教育施設で行われているのです。一方、補習授業校は、現地校やインターナショナル・スクールに通っている日本人子弟が、土曜日に日本語・算数の学習の為に通ってくる教育施設なのです。

 スペインの風車は何に使った?

 小説ドン・キホーテを読んでいると、風車に突進する場面が出てくるのですが、あの風車は何に使ったのですか?
 マドリッドから南へ150キロほど走ると、遥か彼方の丘の上に風車群が見えてきます。写真の風車は、サフラン祭りで有名な、コンスエグラ村の風車なのですが、この風車、古来から小麦などの穀物を挽くために使っていたのです。
 セルバンテスの名作ドン・キホーテで、風車を巨人と見間違えて突進する場面の風車は、カンポ・デ・クリプターナ村にあります。


コンスエグラ村の丘の上の風車群

 日本の新聞を読んでいたら、スペインにはクエバと言う洞窟の住宅があるそうですが、本当ですか?
 スペイン南部、アンダルシア地方には、今でもクエバ(横穴住宅)があります。夏は涼しく、冬は暖かい快適な住居だと聞いています。写真はセテニール村のクエバ。

  
 
 セテニールの村に残るクエバ(横穴住宅)

また、アルハンブラ宮殿で知られるグラナダ郊外でも、多数のクエバを見ることが出来ます。

アディオス