マドリッド通信−8 1

フェリペU世大学・翻訳学部
PROFESOR  加 瀬  忠

 
オーラ ケ・タール?
 お元気ですか、アランフェスの街より加瀬です。
 過日NHKの取材で、アランフェスの街やイチゴ列車のことをお話しましたら、日本からたくさんのお便りをいただきました。本当に有難うございます。「マドリッド通信」81号は、NHKでお話した、アランフェスの街の様子をお伝えします。

 アランフェスの街から

 
WTN』 前説:世界各地でラジオをお聞きの皆さんと電話で結ぶ「ワールドテレフォンネットワーク」。お二人目は、スペインからです。スペインのアランフェスにお住まいの加瀬忠さんと電話がつながっています。日本との時差は夏時間でマイナス7時間、午前11時をまわったところです。
 NHK 
加瀬さん、こんにちは。今日のお天気はいかがですか?
 加瀬  
こんにちは、アランフェスの街はこのところ良い天気が続いておりまして、今日も朝から晴れています。気温も、午後は32〜3度以上に上がりますけれども、それでも湿度が低くて、からりとしていますから快適です。
 NHK 
お住まいのアランフェスはどんな町ですか。
 加瀬 
アランフェスは、マドリッドの南50Kに位置する人口が42,000人の小さな街です。この街には、スペイン国王フェリペU世の命で、18世紀に完成したアランフェス宮殿があり、町全体が宮殿になっています。スペインと言えば、セルバンテスの名作「ドン・キホーテ」でも描かれているように、国全体が赤茶けた褐色の乾いた痩せ地をイメージされる方も多いと思いますが、アランフェスは、イベリア半島を東西に流れるタホ川の恵みで、流域一体が肥沃な黒土地帯となっており、町の郊外には畑が広がっています。

             

                
アランフェスの街は、フェリペU世の王宮を中心に開けている。

 
また、ホアキン・ロドリーゴのギターの名曲、「アランフェス協奏曲」でも良く知られています。長い歴史と伝統を誇り、ロマンチックな街並とプラタナスの豊かな緑が美しいアランフェスの街は、2001年12月に町全体がユネスコの「世界遺産」に登録されました。
 
今の時期は、アランフェスで栽培された特産の真っ赤なイチゴと白いアスパラガスが、メルカド(市場ですね)の店頭を賑わしています。ここで採れるイチゴは、普通のイチゴよりも大粒のイチゴです。

          
        
               
アランフェスのメルカド(写真左)と中の様子(同右)。メルカド(市
           場)は庶民の台所だ。朝早くからアランフェス近郊でとれた新鮮な野菜・
           果物、肉類等が店頭に並びます。

 
この時期になると、マドリッドのアトーチャ駅からアランフェス行きの「イチゴ列車」が出て、大勢の観光客がイチゴを食べにアランフェスへ来てくれます。
 NHK 
イチゴ列車とはおもしろいネーミングですね。
 加瀬 
これは、4月から7月までのアランフェスのイチゴの季節に運行される、臨時のS L・蒸気機関車です。列車の中でも18世紀の衣装を着たセニョリータ(お嬢さん)がイチゴを配ってくれます。ここを訪れましたら、バル(パブのようなもの)で一杯のカフェ・コルタード(とても濃いコーヒーです)を飲み、白いアスパラガスのサラダとフレソン・コン・ナタ(イチゴにミルクをかけたもの)を食べることを、お勧めします。

                

                       
アランフェス駅へ到着した「イチゴ列車」

 NHK 
旬のイチゴっておいしいでしょうね。
  加瀬 
いやー、甘くておいしいですよ。
  NHK 
町の人々の様子はどうですか。
  加瀬 
スペインでは、まもなく国全体が夏時間勤務体制となります。朝9時から仕事を始めて、午後3時には勤務終了です。勤めている人は、夏にバカシオーネスという30日の有給休暇が取れるんですが、我が家の近所の人たちも、バカシオーネスにどこへ行くかという話題で盛り上がっています。もうすっかり夏気分ですね。
  NHK 
加瀬さんも夏の休暇を取りますか。
  加瀬 
はい、もちろんとります。EUに加盟している国のどこかへ行こうかな・・と考えています。
    
  NHK 
ありがとうございました。スペインのアランフェスにお住まいの加瀬忠さんでした。
 
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「地球ラジオ」

 
アランフェス協奏曲
 
ホアキン・ロドリーゴの名曲「アランフェス協奏曲」、その哀愁を帯びた優雅で上品なメロディーは、アランフェスの宮殿を舞台に、18世紀後半にスペインの巨匠ゴヤが描いた宮廷の中の風景や、人間模様をモチーフに作曲されたと言われています。
 
特に私たちにも馴染みの、第二楽章は、ロドリーゴ夫妻のラブ・ロマンスとタホ川のせせらぎのノスタルジック・サウンドがオーバーラップして、バックグラウンド・ミュージックとして聞こえてくるようです。

                    
                   
アランフェスの王宮・島の庭園とタホ川のせせらぎ。ホア
              キン・ロドリーゴの名曲と
してあまりにも有名な「アラン
              フェス協奏曲」の第二楽章・アダージオは、この庭園をバ
              ックにして曲想が浮かんだと言われその甘美なメロディー
              は多くの人々に愛されています。


                        
                        
美しいタホ川とロドリーゴが愛した「島の庭園」

           
      
 
プリンシペ(王子の)通り。左手に島の庭園を望みながら、ロドリーゴはこの通りを何度歩いたのだろうか。王宮前のサンティアゴ・ルシニョール広場から、インファン タス通りをヌエボ・アランフェスに向かってそのまま進むと(写真右)、歩道上にアランフェス協奏曲・第二楽章の楽譜が刻み込まれています。

 
 夏時間勤務体制                                                                こぼればなし

 太陽と情熱の国スペインでは、6月に入って夏時間勤務体制となりました。この時期、多数の会社・官庁等では、朝8時〜9時に仕事を始め、ほとんど休憩時間をとらずに午後3時まで働き、勤務時間終了です。ですから、午後3時過ぎの国道はどこも渋滞します。

 スペインで生活をしていて気がついたのですが、この国の夏は気温が40度以上に上がります。午後3時からの時間帯がその日の最高気温を記録する時間帯で、この時間はもう仕事をしていられないですね。そうなりますと、早々と我が家に戻って「シェスタ」で体力を保つことが生活の知恵なのです。
 何しろシェスタの習慣は、古代ローマの時代から続いている生活習慣ですのでね。

 この時期は、どこへ行っても「バカシオーネス(30日の長期有給休暇)」の話題で持ちきりです。コスタ・デル・ソルの海、ピレネーの山など、長期滞在に適したスポットは多数ありますのでね。

                                                    アディオス