今、夕方に勤務が終わって日課のジョッギングで我が家から数百メートルの「王子の庭園」へ行きますと、多数のスペインの一般の人々が同じようにジョッギングをし、あるいはストレッチの体操をしているのです。
タホ川のほとりをなおも進みますと、ホアキン・ロドリーゴのギターの名曲「Concierto de Aranjuez」のSegundoMovimiento・アダージョがタホ川のせせらぎ、野鳥のさえずりと共に聞こえてくるような錯覚さえ覚えます。 フェリペU世の手がけた王宮のすぐ近くに一庶民が住み、カルロスW世の離宮庭園を自由に出入りしてスペインの人たちと運動や散歩の時間と空間を共有出来るという楽しさを実感しながら、スペインという国とラテンの人々の「オーラ・アミーゴ」の底抜けに陽気で明るい、懐の深さを感じています。
そんな離宮と離宮庭園の世界遺産都市・アランフェスは実に魅力的で清潔・楽しい街です。
世界遺産都市・アランフェス−ARANJUEZ Real SitioPatrimonio de la humanidad−を出版するにあたり、多方面にわたって的確な指導・助言をいただきましたカスティ−ジャ・ラ・マンチャ大学のカルロス・ルビオ教授、並びにフェリペ・センテジェス教授、スペイン料理のページを担当くださいましたスペイン料理研究家の浅野真美氏、貴重な資料提供で大変お世話になりましたサン・ビセンテ在住の佐々木要子氏に心より感謝申し上げます。
有難うございました。
平成16年12月 著者 加瀬 忠
Avenida del Palacio(王宮通り)の回廊から王宮(写真左)とCasa
Caballeros(騎士の家・写真右)を望む。
アランフェスの歴史 スペインが歴史上有名な無敵艦隊を擁し、七つの海を制覇していたフェリペU世の時代からフェリペW世の時代に至る約110年間(1556年〜1665年)は、スペインの黄金世紀といわれました。この頃、多くのパイオニアたちはアメリカ大陸に渡って大量の金・銀を自国に持ち帰り、インフラの整備、社会資本の蓄積に邁進しました。芸術分野では、ベラスケがLas Meninas(女官たち)、エル・グレコがEntierro del Conde de Orgaz( オルガス伯の埋葬)等不朽の名作を残し、偉大な作家セルバンテスは名作ドン・キホーテを書き上げました。さらに、スペイン語は英語と共に国際語となるほどの繁栄の基礎を築いたフェリペU世によって拓かれた街がアランフェスなのです。
レンタ・カー、タクシー等、車でアランフェスを訪れる場合は、ここルシニョール広場(写真・上)へ到着します。Calle de la Reina(レイナ通り)、CalledelPrincipe(プリンシぺ通り)、Calle de lasInfantas(インファンタス通り)、Carretera de Andalucia(アンダルシア街道)等主要な通りは、すべてルシニョール広場が基点となります。
アランフェスのバス・ターミナルは、Calle de lasInfantas(インファ
ンタス通り)とCalle del Capitan Angosto
Gomez Castrillon(カピタン
通り)の交差点角にあります。
ツーリスト・インフォメーション − チキ・トレインとタホ川遊覧 −
アランフェス駅から王宮までは、手入の良く行き届いたプラタナスの並木道を歩いて15分程です。春は若葉の鮮やかな浅緑が、そして秋は黄金色に黄葉したプラタナスの木々と落ち葉の絨毯を踏みしめて歩むCalle de la Estacion(駅通り)から、突き当たりを左折し、Carretera de
Toledo(トレド街道)、さらにAvda.delPalacio(王宮通り)と進む静かな空間は、格別な美しさです。
「Salon del Trono(王座の間)」は、赤のビロード張りの壁
とフランスのルイ15世時代の装飾様式であるロココ調の
家具が配置されています。
Salon de porcelana(磁器の間)
「Salon de porcelana(磁器の間・写真前ページ下)」は、部屋全体が草花模様、人物、動物等の見事な焼き物で飾られています。この珍しい装飾は、カルロスV世によってナポリから呼ばれたデザイナーのグリッチ、エンジニアのシェペルスらの合作によって完成しました。この美しい純白透明性の磁器は、1763年から1765年にかけてマドリッドで焼かれたブエン・レティーロ焼きで、BuenRetiro Factoryから運ばれました。